演題詳細

シンポジウム / Symposium

シンポジウム2 (Symposium 2) : Progression of thrombosis and hemostasis

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日程
2013年10月11日(金)
時間
09:00 - 11:30
会場
第2会場 / Room No.2 (さっぽろ芸文館 3F 瑞雪)
座長・司会
松下 正 (Tadashi Matsushita):1、江藤 浩之 (Koji Eto):2
1:名古屋大学医学部付属病院 輸血部、2:京都大学iPS細胞研究所 臨床応用研究部門
 
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ADAMTS13によるVWF依存性血栓-炎症連関病態の制御

演題番号 : SY2-3

杉本 充彦 (Mitsuhiko Sugimoto):1

1:奈良県立医科大学 血栓制御医学

 

 高ずり応力血流環境における血小板粘着・凝集反応はvon Willebrand因子(VWF)-血小板膜糖蛋白(GP) Ib相互作用に依存し、ずり応力が高くなればなるほど血小板血栓形成過程におけるVWF-GP Ib軸の生理的意義は飛躍的に上昇する。このVWFの高ずり応力特異的な機能はVWF分子に特徴的なマルチマー構造に依存する。すなわち、VWFマルチマー重合度に比例して血小板血栓形成能が亢進し、低分子量マルチマーのみでは十分に血小板機能をサポートできず出血傾向を呈し、逆に超高分子量マルチマーは血栓傾向を惹起する。生体ではVWFマルチマーサイズはVWF切断酵素ADAMTS13によって調節され、‘止血機能を保持しつつ病的血栓症を起こさない’よう血小板血栓形成能が精妙に制御されている。
 ごく最近、マウスモデルでの研究で、二大血栓性疾患である脳梗塞や心筋梗塞の病態形成・進展にVWF-ADAMTS13軸が大きく関与することが明らかになった。すなわち、ADAMTS13遺伝子欠損マウスに、中大脳動脈虚血(脳梗塞)または冠動脈虚血(心筋梗塞)を実験的に誘起し、野生型マウスとの病態比較や遺伝子組み換えADAMTS13分子によるレスキュー効果などの成績が私たちのグループをはじめ次々と報告された。これらの研究では、血栓症成立の病因論としてではなく、むしろADAMTS13によるVWF機能の制御が虚血後の再灌流障害や局所微小循環の改善に貢献しており、血栓形成機転に加えてVWF依存性炎症反応制御の重要性が示唆されている。しかしながら、血管障害局所への好中球の集積や血小板を介した白血球の活性化などが推定されているが、VWF依存性炎症反応の分子メカニズムの詳細はいまだほとんど解明されていない。
 本シンポジウムでは、脳梗塞、心筋梗塞に加えて盲腸結紮穿刺による敗血症モデルなどの種々疾患マウスモデルにおける私たちの実験成績を紹介し、ADAMTS13によるVWF依存性の血栓反応および炎症反応の制御による(これら疾患に対する)新機軸治療法の可能性について議論したい。

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