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開催回
第62回・2017年・横浜
 

AKI用CRRT透析液組成の考察と提言

演題番号 : WS-25-8

原田 大希:1、松田 兼一:1、森口 武史:1

1:山梨大学医学部救急集中治療医学講座

 

持続的血液濾過透析(CHDF)は集中治療領域において必須の治療手段であるが,本邦ではCHDF 用の透析液や補充液は認可されておらず,慢性腎不全患者を想定して組成された血液濾過用補充液がその透析液・補充液として使用されている.カリウム(K)が2mEq/L に設定され,リン(P)が含まれていないため長期間のCHDF 施行により低K 血症,低P 血症が生じる.この問題を解決すべく,K 及びP 濃度をヒト血清基準値内(K: 4.0mEq/L,P: 4.0mg/dL)に調整したFCU-08 急性血液浄化用製剤が開発された.既存のHF-B(サブラッド血液濾過用補充液BSG)を対照として2015 年2 月から2015 年8月の間に第2 相試験,2016 年4 月から2017 年3 月の間に第3 相試験(ともに多施設共同,非盲検,ランダム化,実薬対照,並行群間比較試験)が行われ,当施設ではSeptic AKI 症例を中心に計17 例をエントリーし,年齢は73.4±14.1 歳,SOFA スコアは 12.6±2.9,APACHE II スコアは 28.1±6.5, 予測死亡率は62.0±19.2 % であった.9 例がFCU-08(FCU-08 群),8 例がHF-B(HF-B 群)に割り当てられた.K 血中濃度は開始時FCU-08 群: 4.19±0.79 mEq/L,HF-B 群: 4.29±0.91 mEq/L で,CHDF 施行24 時間後にはそれぞれ4.22±0.64 mEq/L,3.91±0.38 mEq/L となり両群間にほとんど差はなかった.これはHF-B 群では透析液・補充液のK 濃度を4mEq/L に調整し使用していたためと考えられる.P 血中濃度は開始時それぞれ 4.40±1.17 mg/dL,3.58±1.33 mg/dL で,24 時間後FCU-08 群では4.03±1.42 mg/dL であったが,HF-B 群ではP を1.2mmoL/h の速度で持続静注し補正を行ったにも拘わらず2.11±0.48 mg/dL と低下した.両群ともに全例を通じて重大な副作用なく治験を遂行することができた.FCU-08 を使用することで,従来の透析液,補充液のK 補正が必要なくなるとともに,P の持続静注によっても補正しきれないP の低下が認められないなど,電解質管理の質が向上した.FCU-08 の製品化によって電解質調整の負担や調整時汚染の可能性が軽減されること,CHDF施行中の電解質管理がより安全・確実になることが期待される.

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