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開催回
第62回・2017年・横浜
 

生命予後からみた維持透析患者の適正血清カリウム値の検討

演題番号 : WS-25-6

大前 清嗣:1、吉川 昌男:1、小川 哲也:2

1:吉川内科医院内科、2:東京女子医科大学東医療センター内科

 

心疾患患者では低カリウム血症が致死性不整脈の誘因とされ血清カリウム(SK)4.6mEq/L 以上を維持することが推奨されている.一方透析患者ではカリウム中毒が我が国における年間死亡の2.9-5.1%を占めており,透析前SK 5.5mEq/L 未満に抑えるよう指導が行われている.近年透析導入年齢の高齢化や糖尿病を原疾患とした患者の増加により透析開始時から虚血性心疾患を合併した患者が増加している.これら心疾患合併透析患者では透析前後のカリウム変動や透析後の低カリウムにより致死性不整脈が誘発される可能性がある.現在まで透析前SK の下限については十分に検討されておらず,今回我々は当院透析患者を透析前SK 値で層別化し生命予後との関連を検討した.当院外来透析データベースに登録された症例を対象とした.対象例について心血管死をエンドポイントとし2010 年10 月まで追跡しCox 比例ハザード法により生命予後関連因子を抽出した.対象を透析前SK で層別化(SK ≦ 4.5,4.5 < SK ≦ 5.0,5.0 < SK ≦ 5.5,5.5mEq/L < SK)し,説明変数には層別化したSK の他,年齢,性別,合併症,透析歴,透析前後の血圧,生化学,末梢血検査値を用いた.データベース登録の309 例中データ不備を認める16 例と転院により追跡不能となった33 例を除外した.解析対象の260 例は男性149 名,女性111 名,平均年齢68.8 歳で透析期間は5.6 年であった.原疾患はDM が89 名,心疾患合併が97 名で全体の平均透析前SK は4.97mEq/L であった.平均観察期間3.3 年で心血管死は43 名であった.抽出された予後悪化因子は高齢,長期透析,血液濾過の施行,糖尿病,心疾患の合併,SK 低値,CRP 高値であった.層別化したSK のうちSK ≦ 5.0mEq/L の2 群が予後不良と関連しHazard 比はSK ≦ 4.5mEq/L で6.377,4.5 < SK ≦ 5.0mEq/L で2.733 であった.今回の検討において透析患者におけるSK 高値は,非透析例と同様に心血管死の抑制に働く可能性が示唆された.透析患者のSK 値は栄養指標の関連が認められる一方, 心血管予後に対しては血清アルブミンと独立して関連し心疾患の有無に関わらず比較的高値に保つ必要性が考えられた.

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