演題情報

ワークショップ

開催回
第62回・2017年・横浜
 

透析液NaとHDF~Na143mEq/Lによる後希釈HDFの効果と弊害~

演題番号 : WS-25-5

小田島 愛:1、尾形 康幸:1、家入 伯夫:2、堀田 修:2

1:堀田修クリニック透析室、2:堀田修クリニック内科

 

【目的】近年,透析患者の高齢化・糖尿病性腎症の増加に伴い,透析中に血圧低下をきたしやすい患者が増加している.透析中の血圧低下に対してわが国では前希釈HDF,海外では後希釈HDF が有用であるとの報告がある.前希釈HDF では浸透圧低下が緩徐であるがゆえに血圧が低下しにくいという見解だが,浸透圧の観点からすると溶質除去に優れる後希釈HDF で血圧が維持されるというのは矛盾が生じる.そのため当院では透析液Na 濃度を上昇させた後希釈HDF を施行した.Na 濃度の上昇による効果と弊害について検証する.
【対象】透析中に血圧低下をきたしやすい患者6 名を対象とした.平均年齢は66.2 歳,平均透析歴は11 年5 ヶ月.
【方法】Na 濃度140mEq/L の前希釈HDF →後希釈HDF → Na 濃度143mEq/L の後希釈と2 週間ずつ透析方法を変更させ,透析中の血圧低下および処置回数を比較した.また,濃度変更3 ヶ月後において血清Na 濃度,透析間体重増加量,家庭血圧,体水分量等を変更前と比較した.透析条件は前希釈時にMFX-25Eeco 使用での96L が5 例,ABH-P での70L が1 例であったが,後希釈変更後は全例でMFX-21Meco を用い,血流量は300ml/min,補液量は血流の30%とした.
【結果】Na 濃度を上昇させた後希釈HDF において,全症例で血圧低下回数,処置回数が減少した.透析間体重増加量には変化は見られず,口渇を訴える患者も出現しなかった.しかし,1 例で家庭血圧が上昇し降圧剤が増量となった.DW は6 例中5 例で減少し,CTR は全例低下した.血清Na 濃度は透析前・後ともに上昇した.
【考察】通常濃度の前希釈HDF,後希釈HDF では改善がみられなかったことから,Na 濃度上昇により血漿浸透圧が上昇し血圧低下を防止できたと考えられる.口渇を訴える患者も出現しなかったことから,血圧低下を伴う患者に対しての透析液Na 濃度は143mEq/L がリスクを最小限に抑え,ベネフィットを最大限に発揮できる濃度であると考えられる.
【まとめ】透析液Na 濃度の上昇は,注意深く患者観察を行う事で透析中の血圧低下に対して有効な手段となり得る.Na 濃度上昇による長期的な効果・弊害については本学会で報告予定である.

前へ戻る