演題情報

ワークショップ

開催回
第62回・2017年・横浜
 

認知作業と感染対策に向けた可視化への取り組み

演題番号 : WS-18-5

鈴木 聡:1

1:神奈川工科大学工学部

 

今回2 つの研究について報告する.直接的関連性は希薄だが,可視化という点で共通している.1 つ目は認知作業に関する可視化である.現在の透析装置は管理の厳格化などにより,使用中の故障は極めて少なくなった.一方,臨床スタッフが突然の装置故障への対処を迫られる機会が減り,装置不具合への対処能力が低減した感がある.この対処とは,装置の症状から得られる情報獲得と対処者の内在的知識を統合し,どのような行動(対処)をすべきか意思決定するという認知的プロセスを含む.判断を誤ると場合によっては患者への悪影響もあり得る.ここで対処に当たる者がどのような情報獲得と内在的知識に基づいて自身の行動に至ったか第三者にはわかりにくい.視線を記録するEMR(eye mark recorder)を用いた解析とプロトコル分析などを利用し,3 種の不具合が仕掛けられた透析装置の故障個所を同定するという検討を行った.被験者は透析業務に従事する臨床工学技士と装置メーカの保守担当者とした.問題解決には,1)問題の明確化,2)複数の原因仮説生成,3)選択肢の絞り込み,4)絞り込みの見直しという意思決定プロセスを経ているという仮説の基に判断フロー図を作成し“考え” を顕在化した.作業時間は経験年数に相関がなく,特に熟練技士とメーカ保守担当者では一見大差なく速やかにタスク完了していたが,フロー図により原因仮説生成や検証順序などに大きな差が見られ,重視する価値基準が“迅速性” と“確実性” に分かれた.2つ目は感染に関わる可視化である.HD などの血液回路からの採血などにはニードルレスアクセスポートが利用されているが,注射器の挿入や抜去の際,微量ながら血液が回路外へ飛散することを経験する.把握できない程度の微量な飛散も実際には発生していると思われ,先ずは把握する必要があると思われる.スロー再生カメラを用い,粘度と回路内圧を変化させ,注射器を抜去する様子を撮影した.回路内圧が高く,液の粘度が低い方が飛散する傾向が認められたが,製品による違いが最も大きかった.可視化は特別なデバイスにより可能となる場合もあるが,対象によっては工夫次第で実現可能と思われる.

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