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開催回
第62回・2017年・横浜
 

グラフト吹き流し法(Graft Drifting Technique)による過剰血流制御の検討~PAD増加の時代に~

演題番号 : WS-15-6

大崎 慎一:1

1:玄々堂君津病院総合腎臓病センター外科

 

【はじめに】高齢化に伴い末梢動脈疾患(PAD)が増加してきている.上肢PAD による末梢循環不全は透析用動静脈瘻(シャント)により増悪するため,シャントスティールにおけるPAD の評価は重要であり,PAD を考慮した治療術式の選択が求められる.我々は2012 年から過剰血流に対するグラフト吹き流し法(Graft Drifting Technique以下GDT)の効果を報告してきたが,この点も含めたGDT の有用性に関して考察する.
【GDT 術式】過剰血流の主たる原因が静脈拡張であるVA 静脈内に,e-PTFE グラフト(グラフト)を5 ~10cm 留置し末梢側のみをインクルージョン吻合する.基本術式は挿入部末梢にφ10mm 以上の拡張血管を残さない静脈への吻合(静脈吻合)とし,シャント径が拡張している症例には,基本術式に吻合部隔壁形成を併用(併用法)または,グラフトをAVF に直接吻合(動脈吻合)した.
【対象と方法】一般透析患者547 人および透析導入前CKD 患者の第2指のSPP を測定した.過剰血流と診断された15 症例にGDT を施行し,超音波ドップラーで経過観察した.
【結果】GDT は静脈吻合14 症例,併用法2 症例そして動脈吻合1 症例で,最長46 ヶ月(平均24 ヶ月)観察した.血流量は1934±126 から707±70ml/min に低下,全症例で臨床症状は改善し,スティール症例のSPP は23.3±3.6 から52.1±5.1mmHg に上昇した.過剰血流再発,グラフト感染,肺塞栓,VA 瘤化,そして本手術による観察脱落症例は認めなかった.3 か月以内の血栓閉塞2 例,2 年以上経過例のグラフト流出部狭窄を3 例に認め,うち4 例を治療し改善した.維持透析患者547 症例のSPP は非VA 肢の63±18mmHg に対しVA 肢は52±19 と有意に低く,30mmHg 未満の症例は非VA 肢の2.7%に対しVA 肢は13.7%と多かった.
【考察】維持透析患者のPAD の存在とシャントによる末梢循環の悪化は,アクセス管理における末梢動脈温存の重要性を示唆する.クラフトを使用した過剰血流制御術においても,感染グラフト摘出時の動脈ダメージが少ない術式が望ましいと考える.GDT は過剰血流15 例中14 例で静脈吻合での血流制御が可能であり,PAD を考慮した場合にも有用な術式と考えられる.

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