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第62回・2017年・横浜
 

新たな腹水濾過濃縮再静注法(Washed-CART)の考案

演題番号 : WS-05-2

江口 圭:1、山本 健一郎:2、土谷 健:3、峰島 三千男:4

1:東京女子医科大学臨床工学部、2:川崎医療福祉大学医療技術学部臨床工学科、3:東京女子医科大学血液浄化療法科、4:東京女子医科大学臨床工学科

 

【目的】近年,緩和ケア療法として腹水濾過濃縮再静注法(CART)が多用されるようになったが,以前として静注後の発熱の問題が指摘されている.発熱については,多量の副腎皮質ホルモンの前投与や解熱剤の使用により,軽症な範囲に抑えられるものの,一部の症例においては悪寒をともなう体温上昇も見受けられる.
発熱の原因については,原腹水中に含まれる炎症性cytokine の濃縮・静注による影響や,腹水濾過操作時に免疫細胞が受ける機械的ストレスに起因したcytokine 放出などが指摘されている.
そこで,不要なcytokine 分画を除去し,アルブミン純度が高く,一定濃度に調整した濃縮液の精製を目的に,新しいCART(Washed-CART:W-CART)を考案した.今回は,その臨床応用へ向けた取り組みと,腹水製剤の質と濃度の標準化への可能性を追求したので報告する.
【方法】W-CART が施行可能な回路構成をデザインし,専用回路を作成するとともに操作手順書を整備した.また,ヒト血漿を用いたin vitro 実験を行い,通常CART とW-CART の溶質除去特性を比較した.さらに濃縮器入口圧と濃縮器出口側蛋白濃度との関係を調べた.
【結果】W-CART は,通常CART に比べ,尿素,β2-MG,ミオグロビン(IL-1β と同分画),プロラクチン(IL-6 と同分画)の除去を増大させることができた.一方,α1-MG,アルブミン,IgG,TP に大きな差違は認められなかった.濃縮器入口圧と濃縮器出口側蛋白濃度の間には,良好な相関関係が認められた.
【結語】今回の基礎検討によって,W-CART は臨床展開が十分可能であり,腹水製剤の質と濃度の標準化を可能にする有用な治療モードの1 つになり得ると思われた.

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