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第62回・2017年・横浜
 

透析施設のHIV患者受け入れ状況~感染調査小委員会のアンケート調査から~

演題番号 : 追加発言 WS-03-7

吉藤 歩:1,2、竜崎 崇和:1、感染調査小委員会

1:東京都済生会中央病院腎臓内科、2:慶應義塾大学医学部内科腎臓内分泌代謝科

 

【はじめに】2016 年8 月30 日の新聞記事で,人工透析が必要なHIV 患者が多数の医療機関から透析を拒否されたという報道がなされた.感染調査小委員会ではこの実態を調査し,施設会員が安心して医療を提供出来るような形を模索するため,アンケート調査を行うこととした.
【方法】2016 年11 月に透析施設4039 施設にHIV 患者受け入れに関するアンケートを送付し,匿名にて返答を依頼した.過去5 年間のHIV 患者の透析受け入れ要請の有無,要請時の返答,針刺しマニュアルの有無,抗HIV 薬の院内常備の有無,HIV 患者の受け入れが難しい理由,HIV 拠点病院との連携の状況および連携の希望,HIV 感染患者の透析に関するガイドラインの認知度について質問した.
【結果】4039 施設中2583 施設(64.0%)より回答を得た.過去5 年間にHIV患者の透析受け入れの要請があった施設は8.3% であった.受け入れた施設が52.5%,HIV 患者側から断られた施設が7.8%,断った施設が40.1% であった.受け入れた施設の96.6% で針刺し事故マニュアルが存在していたが,抗HIV 薬を院内常備している施設は51.5% であった.常備薬の費用は78.8% で自施設の負担であった.また,受け入れを断った理由として,HIV 患者の診察経験がないことが56.9%,スタッフがHIV 感染リスクに不安を感じているためが55.0%,針刺し事故の際の抗HIV 薬の常備がないためが52.3%,HIV拠点病院との連携がないためが39.4%,院内の標準予防策が不十分なためが35.8%,針刺し事故がおこった場合の対応がわからないためが17.4% であった.また,HIV 拠点病院との連携の割合は8.9% に過ぎず,今後連携を希望する施設の割合は17.9% と低かった.HIV 感染患者の透析に関するガイドラインの認知度は,熟知している施設が20% 未満と少なかった.また,今後のHIV 患者の受け入れ予定の施設は16.9% と低かった.
【結論】アンケート調査から,HIV 患者の受け入れについて否定的な施設が多いことがわかった.透析医学会総会での教育講演やシンポジウムを通じ,HIV の基礎知識や感染対策の知識の普及をはかると同時に,ガイドラインの認知度をあげること,針刺し事故の際の抗HIV 薬の常備のバックアップ体制の構築,拠点病院との連携の強化が必要である.これらの体制の確立し,HIV 患者の透析の受け入れ拡大につとめたい.

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