演題情報

ワークショップ

開催回
第62回・2017年・横浜
 

災害時における透析患者の感染対策~避難施設での対応も含めて~

演題番号 : WS-03-6

櫻井 滋:1

1:岩手医科大学附属病院医療安全管理部感染症対策室

 

【目的】災害時における慢性(維持)血液透析(CHD)について感染制御の面から俯瞰し,その問題点や可及的対策について述べたい.
【方法】現時点で公表されている国内における災害時避難所等における一般的な感染対策に加え,米国CDC が公表しているCHD 患者に対する感染制御面でのガイダンスに基づき,感染制御担当者の立場から述べる.
【成績】CHD は感染リスクの高い体外循環を前提とすることから,災害という特殊な環境においても安全で効率的な実施あるいは緊急的な中断や再開のためには省くことのできない事項が多い.災害時には好むと好まざるを問わずCHD にとって必須のインフラが失われ,代替的な手段が極めて制限される事が先行事例において報告されている.災害時のCHD に関する総合的対応マニュアルはいくつか発表されているが,これらのマニュアルには感染制御という用語が用いられることは少ないものの,消毒や清潔操作についての注意事項が記載されている.消毒や清潔操作は感染経路の遮断という面で感染制御の基本ではあるが,避難所や家庭では適正な消毒操作そのものが困難となる場合も少なくない.近隣に充分な機能を保っている施設が存在するか否かによって対応は異なるが,透析療法の対象者はCAPD を実施している患者を含めて移送の対象となった.東日本大震災では,これらの問題を踏まえて被災者のトリアージが行われ,CHD 中の被災者は最優先で広域搬送の対象となった.CHD の実施はインフラに依存するため,インフラに関する情報のやり取りが極めて重要である.さらに,復旧時の安全性確認の内容に感染制御の視点が必要である
【結論】CHD 患者にとって透析は必須であるが,いわゆる避難所の環境では必要な清潔度を保つことは多くの場合困難であること.さらに,災害時の医療チームは外傷を始めとする緊急および急性期医療を前提としていることから,慢性の在宅医療に関する対応は想定していない.そのため,被災地におけるCHD と感染制御策は可及的,応急的な内容に限定される.医療側の様々な準備や衛生資材備蓄も重要であるが,CHD 患者自身が自らの状況を支援者に伝達する備えをしておくことが,感染制御面でも重要である.

前へ戻る