演題情報

ワークショップ

開催回
第62回・2017年・横浜
 

高齢・超高齢透析患者の感染症

演題番号 : WS-03-5

米田 龍生:1、吉田 克法:1、藤本 清秀:1

1:奈良県立医科大学泌尿器科

 

透析療法の進歩に伴う長期透析患者の増加や導入患者の高齢化に伴い,透析患者の平均年齢は漸増しており,日本透析医学会の2015 年末の集計では,67.86 歳となっている.65 ~84 歳の高齢透析患者は全体の57.7% を占め,85 歳以上の超高齢透析患者も約23,000 人と少なくない.一方,透析患者の死因は心血管系疾患が最多ではあるがその割合は減少傾向であり,逆に漸増しているのが感染症である.一般に高齢者は感染のリスクが増えるが,透析患者自体も易感染性であるため,高齢透析患者は感染のハイリスク群であり,その管理が重要となる.透析患者では,細胞性免疫の低下や特異抗体産生能の低下などの慢性腎不全という疾患に伴う病態以外に,皮膚,気道や消化管の粘膜などが本来有する物理的な生体防御能の低下や慢性炎症の自然免疫系担当細胞の影響や低栄養状態などによって易感染性を呈する.一方,加齢によっても好中球やマクロファージなどの食細胞機能の変動や慢性炎症,腸内細菌叢の多様性の変化など生体防御機構の変化が生じる.また高齢では筋力・肺活量・視力・聴力などの生体機能の低下や自律神経系,内分泌系の機能低下も生じ,感染のリスクが高まる.呼吸器感染では,嚥下・咳嗽反射の低下や口腔内衛生不良による誤嚥性をはじめとする肺炎が多く,不顕性に生じることもあり,注意を要する.また高齢透析患者ではインフルエンザで肺炎を合併しやすく,重症化しやすいのでワクチン接種などの予防が重要となる.消化管感染では, 感染力の強いノロウイルスや抗菌薬関連腸炎であるClostridium difficile が多く,患者が集まる透析施設では集団感染につながる危険性があり,その管理が重要となる.致死的な感染症として敗血症が挙げられるが,高齢透析患者においては,ダブルルーメンや中心静脈などの留置カテーテルによる血流感染や内シャントなどの透析アクセス関連感染,末梢動脈疾患進行に伴う重症下肢虚血などから敗血症を来しやすい.講演では,高齢透析患者の易感染性の原因から感染症の特徴を把握し,注意すべき感染症について,予防を含めた対処法について述べたい.

前へ戻る