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開催回
第62回・2017年・横浜
 

尿毒症症状の中に市中感染Clostridium difficile 腸炎が隠れている

演題番号 : WS-03-4

吉藤 歩:1,2、脇野 修:2、伊藤 裕:2

1:東京都済生会中央病院腎臓内科、2:慶應義塾大学医学部内科腎臓内分泌代謝科

 

【はじめに】Clostridium difficile は,入院患者の抗菌薬関連下痢症の重要な原因菌である.しかし,近年,抗菌薬非使用下で発症する市中感染Clostridium difficile 感染症(CDI)が注目されている.我々が経験した末期腎不全患者の市中感染CDI 2 例を提示し,透析導入時の尿毒症の症状とCDI の鑑別の重要性について報告する.
【症例1】75 歳 男性.原因不明の慢性腎臓病からの末期腎不全にて,当院通院中であったが,Cre 5-6mg/dl と上昇し,約1 ヶ月半前に内シャント造設術が施行された.1 週間前より全身倦怠感の増悪,食欲不振が出現,入院2 日前からは腹痛が出現した.BUN 62.3mg/dl, Cre5.48mg/dl であり,尿毒症による全身状態不良と診断し,透析導入目的で入院となった.入院時の便培養からClostridium difficileC.difficile )が検出され,市中発症CDI と診断した.メトロニダゾール1500mg/ 日,バンコマイシン(VCM)0.5g/ 日の内服にて加療するも下血を繰り返し,第72 病日に死亡した.
【症例2】82 歳 男性.20 年来の2 型糖尿病からの末期腎不全にて当院通院中であったが,Cre 8-9mg/dl と上昇し,2 か月前に内シャント造設術が施行された.2 週間前より発熱・嘔気が出現し,透析導入目的で入院となった.入院時の便培養よりC. difficile toxin( CD toxin)が検出され,市中発症CDI と診断した.VCM 0.5g/ 日の10 日間内服にて改善を認めたが,約1 か月後に再発し,VCM 1g 14 日間の治療を行い,軽快した.
【考察】本症例のように,抗菌薬非使用下で発症する市中発症CDI が増加している.特に,末期腎不全患者では疾患による免疫力低下に加え,外来通院回数が多いため,一般人口に比べCDI の罹患率は有意に高い.2 症例とも抗菌薬使用歴はなかったが,末期腎不全による尿毒症を疑う症状にて入院となった.市中発症CDI は時に劇症化し症例1 のように致死的になるので注意を要する.C. difficile は一般便培養で検出することが難しく,C. difficile を目的とした培養検査やCDtoxin 検査を行い,早期の診断することで,予後改善につながる.
【結論】尿毒症期の末期腎不全の患者で腹部症状を認める場合には,CDI の鑑別が重要である.

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