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開催回
第62回・2017年・横浜
 

透析患者の栄養と感染症

演題番号 : WS-03-1

脇野 修:1、水口 斉:1、稲本 元:2、伊藤 裕:1

1:慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科、2:自由が丘南口クリニック

 

感染症は維持透析患者の主たる死因の一つである.透析患者は易感染状態にありそれは免疫能の低下,頻回の入院による抗菌薬の多用,シャント,カテーテルなどの透析自体の要因,様々な合併症や合併症に対する治療などが原因となっている.入院透析患者の感染状態特に肺炎の罹患状況を明らかにする目的でわれわれは慶應義塾大学病院における2001 年から2007 年の入院患者における肺炎の現況を横断的に調査した.5 年間の入院透析患者総数は1803 名で平均年齢は64.8 歳であった.入院科は内科系が72%であったが,30 診療科にわたった.在院日数は28.1 日で当院の平均在院日数15 日より長期であった.感染兆候を有し喀痰採取した患者は138 名で喀痰より検出されたものはC.albicans ,MRSA,表皮ブドウ球菌,緑膿菌,肺炎桿菌が多かった.感染兆候を有した患者のうち肺炎患者は34% であり,病原菌はMRSA が34%,表皮ブドウ球菌が16% であった.多剤耐性の菌がMRSA およびStenotrophomonas maltophilia が合わせて27.1% あることより,菌交代症の存在が疑われた.S.maltophilia を有する肺炎患者の死亡率は62% と他の菌に比べ最高であった.このように透析患者は入院の長期化に伴う菌交代による肺炎が重要である.
さらに透析患者の慢性の炎症状態であり,タンパク喪失状態すなわちprotein energy wasting(PEW)という状態にありこれも易感染状態に寄与する.入院患者におけるPEW は嚥下機能の低下を伴いの誤嚥性の肺炎の発症要因となる.我々の施設での2008 年から2009 年の入院透析患者356 名での検討によれば誤嚥性肺炎の罹患率は5.34%でその死亡率は42.1% に上る.罹患の危険因子を検討したところ高齢,BMI 低値,血清creatinine(Cre)低値および血清Cre 値の月当たりの低下速度高値が独立した危険因子であった.さらに血清アルブミン(Alb)低値,血清コレステロール低値,血清Cre およびAlb の低下速度高値,誤嚥性肺炎の罹患期間が死亡の独立した危険因子であった.以上より入院中の誤嚥性肺炎にはPEW がその背景因子として存在することが考えられ栄養管理の予防上重要であると思われた.

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