演題情報

シンポジウム

開催回
第62回・2017年・横浜
 

透析導入期の栄養管理

演題番号 : SY-16-5

中嶌 美佳:1、清野 由美子:1、政金 生人:2

1:矢吹病院健康栄養科、2:本町矢吹クリニック

 

【はじめに】これまで透析導入は腎機能検査や日常生活の活動性で決定されてきた.慢性腎臓病(CKD)患者では尿毒症や合併症,誤った食事療法などから栄養障害に陥りやすく,栄養障害は患者の予後を左右する最も大きな因子である.従来からCKD,特に保存期の食事療法はたんぱく質の制限量や開始・中止時期が議論されてきたが,栄養障害を予防するという観点から透析導入時期や療法選択を考える視点が必要ではないだろうか?
【研究1:導入理由】2013.12 から2016.12 までに自施設で透析導入をした患者82 人(平均年齢66.4±13.9 歳)を対象に75 歳以上(26 人)と75 歳未満(56 人)で比較調査した.緊急導入はそれぞれ4 人ずつで75 歳以上の割合が高かった.導入時の血清Cr 値は75 歳以上:75歳未満= 5.8±0.5:7.8±0.3(mg/dl)で有意に75 歳以上が低かったが,eGFR は7.5±0.4:6.7±0.3(ml/min/1.73m2)と75 歳以上で高い傾向を示したものの明らかな差はなかった.Hb,BUN,血清Alb 値,尿たんぱく量も有意差はなく,BMI は浮腫のある患者が多く存在したため比較できなかった.透析導入理由は腎機能のみが75 歳以上:75歳未満= 1%:29%で,75 歳以上は導入時に臨床症状を有する患者がほとんどだった.その内容は75 歳以上:75 歳未満=体液貯留(14%:25%),体液異常(18%:17%),消化器疾患(55%:40%),血液異常(9%:7%),その他だった.また日常生活の活動性を疲れる,だるい,家で寝ていることが多くなったなどの倦怠感で表す患者は75歳以上:75 歳未満= 41%:46%であった.
【研究2:導入時の栄養状態】2010.6 から2013.6 に血液透析を導入後半年以内にMIS 調査を実施した162 人を対象にして,導入時における栄養状態と3 年予後調査をした.導入時にMIS11 点以上の中・高度栄養障害リスク群の3 年生存率は63%で栄養状態良好群や軽度栄養障害リスク群と比べて有意に悪かった.独立した予後リスク因子は年齢とMIS 合計点で導入期の栄養状態を良好に維持しておく重要性が明らかとなった.
【まとめ】高齢者は導入前に嘔気や食欲不振といった消化器症状を生じやすく,栄養障害が進行し導入後の死亡リスクとなる.高齢CKD患者の予後改善には消化器症状出現前の透析導入が必要かもしれない.

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