演題情報

シンポジウム

開催回
第62回・2017年・横浜
 

透析導入時の貧血のレベルと心血管イベント・脳血管イベント発症への影響

演題番号 : SY-16-1

片岡 浩史:1、望月 俊雄:1、新田 孝作:2

1:東京女子医科大学多発性嚢胞腎病態研究部門、2:東京女子医科大学第四内科

 

【目的】血液透析導入時の貧血管理が予後に影響する可能性が示唆されている.慢性腎疾患(CKD)患者の血液透析開始時のHb 濃度が,透析導入後の脳梗塞および心血管イベントのリスクにどのように影響するかについて検討した.
【方法,対象】2012 年5 月から2014 年4 月までに血液透析導入となった72 人の患者を試験対象とし,患者を血液透析開始時にHb レベル8g/dL 以上のコホートとHb レベル8g/dL 未満のコホートに分けた.Kaplan-Meier 法およびCox 比例ハザードモデルを用いて,心血管イベント,脳血管イベントの発生を分析した.
【結果】血液透析開始時に8g/dL 未満のHb レベルを有するコホートは,血液透析導入前のESA や鉄製剤投与量が低用量の傾向があり,透析導入時にHb のdipping を認め, 心血管イベント(log rank,P=0.002)および脳血管イベント(log rank,P=0.02)の有意な発生が観察された.多変量Cox 比例ハザードモデルの解析で,血液透析開始時のHb レベル8g/dL 未満の貧血は,心血管イベント(hazard ratio=12.85,P = 0.003)および脳血管イベント(hazard ratio=5.11,P=0.04)の有意な予後予測因子であった.
【考察】心血管および脳血管イベントの要因として,血液透析導入時の低Hb レベル(Hb のdipping)が関与する可能性が考えられた.血液透析導入前の期間に鉄剤とESA を十分に投与することで,心血管イベントや脳血管イベントの予防に役立つことが示唆された.

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