演題情報

シンポジウム

開催回
第62回・2017年・横浜
 

献腎移植待機患者の定期検診,クロージングリマークス

演題番号 : SY-04-7

吉田 一成:1,3、石井 大輔:2,3、野口 文乃:3、池田 成江:2,3

1:北里大学医学部新世紀医療開発センター臓器移植・再生医療学、2:北里大学医学部泌尿器科学、3:北里大学病院移植医療支援室

 

腎移植には優れた点が多いが,ドナーの問題と免疫抑制療法の合併症は解決すべき大きな課題である.腎移植レシピエントは単腎,そしてCKD であり,免疫抑制療法による感染症や発癌,高血圧,糖尿病,高脂血症などの代謝障害のリスクもある.生体腎ドナーは腎提供後の腎機能減少による問題を抱えるため,腎移植の本来の姿は脳死ドナーからの献腎移植であるが,日本においては献腎ドナーが著明に少ない.このため献腎移植登録患者は長期の待機を余儀なくされ,多くの透析合併症を抱えることになる.腎不全の原因疾患として糖尿病性腎症が第1位になってから既に20 年近くになるが,人口比の腎移植数は少なく,しかもリスクの高い献腎移植を行わざるを得ない状況が今後も暫くは続くと考えられる.免疫抑制療法の発展により,移植後短期の急性拒絶反応のコントロールは改善されたが,抗体関連型拒絶などによる慢性拒絶反応の抑制と移植腎機能低下はまだ解決途上であり,長期成績にはまだかなりの改善の余地が残されている.また感染症や癌の発生率,免疫抑制薬の副作用による心血管系障害の死亡率上昇が目立つようになっている.これらの疾患の早期発見,早期治療と予防の重要性は増している.生体腎移植では移植前に出来る限りの綿密な検査を行うが,献腎移植では緊急手術であるため術前検査が不充分になりがちである.献腎移植待機患者の心肺機能,心血管障害,及び癌のスクリーニングは移植のためのみならず透析医療の観点からも定期的に,そして充分に行われる必要がある.これには普段の透析を診ている透析医の理解と協力が欠かせない.現在の保険制度では検診はカバーされないが,予防や早期治療により患者の予後やQOL を改善させ,結果的には医療経済的にも社会の負担が少なくてすむはずであり,安全な献腎移植と,より良い透析医療のためにも必要充分な検査を遂行するシステム作りが望まれる.

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