演題情報

シンポジウム

開催回
第62回・2017年・横浜
 

糖尿病性腎症における移植の現況と課題

演題番号 : SY-04-3

豊田 麻理子:1、川端 知晶:1、濱ノ上 哲:1、前川 愛:2

1:熊本赤十字病院腎臓内科、2:熊本赤十字病院外科

 

糖尿病性腎症は1998 年から慢性糸球体腎炎に替わって透析導入原疾患の第一位で,2015 年は43.7%を占めている.腎移植においても糖尿病性腎症の症例は増えており,原疾患がわかっているものでは慢性糸球体腎炎についで2 番目に多い.移植については,術後血糖の悪化や合併症のリスクなどが懸念され,移植が躊躇されていた時代もあったが,最近の免疫抑制剤の進歩などによって糖尿病患者における移植成績は向上しており,長期予後を考えると,移植は糖尿病患者においても腎代替療法の重要なオプションの一つとなっている.
糖尿病患者の移植を成功させるには,少し注意が必要な点がある.1,心血管合併症(cardiovascular disease:CVD):移植患者においても,糖尿病の透析患者においても,最大の死因は感染症とCVD である.移植は透析と比べてCVD の発症を抑制する効果が期待できるが,糖尿病患者では移植前からすでにCVD を有する患者も多い.移植後の予後は移植前の管理によって決まるといっても過言ではなく,術前の慎重な評価は重要である.2,移植施設へのタイミング:透析未導入の腎移植(preemptive kidney transplantation:PEKT)が増えているが,糖尿病の場合,腎不全の程度に比して貧血の進行や体液貯留が問題となり早期に腎代替療法が必要となる症例もあるので,早期の移植施設への紹介が望ましい.3,移植後の血糖値の上昇:移植による腎機能改善やステロイドなどの免疫抑制剤の影響により血糖コントロールは悪化する.術後はインスリンが必要となる場合が多く,移植腎の長期生着や他の合併症予防のためには術後の厳密な血糖コントロールは不可欠である.
本シンポジウムでは,実際,移植の術前評価に携わっている立場から,糖尿病患者における移植のメリット,そして移植における問題点について具体的な例を紹介しながら検討したい.

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