演題情報

シンポジウム

開催回
第62回・2017年・横浜
 

最近の腎移植適応患者と移植成績

演題番号 : SY-04-1

後藤 憲彦:1

1:名古屋第二赤十字病院移植内科

 

免疫抑制薬の種類やパワーがない時代の生体腎移植は,HLA が半分一致している親子間,すべて一致している双子間,繰り返す拒絶反応に対する治療に耐えうる若いCKD 患者に対しておこなっていた.血液透析,腹膜透析に比べて,選ばれたCKD 患者に対する医療であった.最近の免疫抑制薬の進歩により,この状況は一変している.夫婦間,血液型不適合,HLA 不適合間の移植が可能になり,その成績は素晴らしいものになっている.感染症や悪性腫瘍合併の可能性が大きい高齢者や,免疫抑制薬により糖尿病が悪化するデメリットのため,以前は禁忌と言われていた糖尿病性腎症に対する腎移植も,今では逆に強く推奨されている.現在では,腎移植が禁忌である疾患はほとんどないと言ってよい.このため,生体腎提供の可能性があれば,ほとんどすべてのCKD 患者が腎移植医療を受けることができる時代になっている.また,先行的腎移植の増加は,腎移植のメリットを最大限に引き出すことができるようになった.腎不全持続が予後に大きく影響する冠動脈疾患合併CKD患者や糖尿病合併患者には効果的である.生体腎移植患者生存率は,1983 ~2000 年で5 年生存率が93.4%,2001 ~2009 年で96.0%,2010 ~2014 年で97.2%と上昇している.生体腎移植腎生着率は,1983 ~2000 年で5 年生着率が85.6%,2001~2009 年で93.6%,2010 ~2014 年で94.6%と上昇している.急性と慢性拒絶反応による移植腎喪失は,1983 ~2000 年で66.4%,2001 ~2009 年で29.4%,2010 ~2014 年で12.5%と免疫抑制薬の進歩とともに減少している.それに代わって,移植腎は機能しているものの,他の原因で死亡する(DWF;death with function)割合が,1983 ~2000 年で45.0%,2001 ~2009 年で55.7%,2010 ~2014 年と59.3%増えている.その最大の原因が心血管疾患である.
CKD 患者の生命予後やQOL を最も大きくするには,可能であれば先行的に腎移植を選択し,かつDWF を減らすことが求められる.そのためには,移植前のCKD 管理が非常に重要である.今後は,腎臓内科,透析内科,移植外科,移植内科が密に連携してCKD 医療を進めていけるかにかかっている.透析再導入後の管理もきちんとし,早いタイミングで再移植の選択肢を示すことも重要である.

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