演題情報

企業共催シンポジウム

[共催] バイエル薬品株式会社
開催回
第62回・2017年・横浜
 

経口からリンをコントロールする意義

演題番号 : KS-01-5

市川 和子:1

1:川崎医療福祉大学医療技術学部臨床栄養学科

 

我が国の大半の血液透析患者は,4 時間の血液浄化により生命を維持し,日々の生活を送っている.健常者の場合,尿として体内で代謝された産物(老廃物)を排泄することができるが,透析患者では,この尿が全くできないため,排泄経路は便・不感蒸泄・呼吸と透析となる.排泄には限界があるため経口から摂取する食物を調整するしかない.では,毎日同じものを摂取したと仮定した場合,血液中の電解質の値は常に一定でしょうか?人の場合には,動物モデルのようにはいきません.人は,社会の中で生活を営んでいるため様々な環境に晒され体内ホルモンや腸管からの吸収状況により結果は様々である.
【高リン血症】比較的腸管の状態は,安定しており経口から摂取した食物の吸収が可能な状態とみなすことができる.経口摂取が少量にもかかわらず血清リン値が高値である場合には,副甲状腺などの骨代謝関連の確認と排便状態が重要である.透析患者の排便調整は患者が意図的に非透析日になるように行っている.本来なら便中の成分測定を行うことで吸収状況を正確に把握できるが,これは非現実的であるため血液検査で代行している.透析患者では,健常者よりむしろ排泄量が多くなっているという説もあり可能な限り恒常性を維持するよう腸管が頑張っている.
【低リン血症】最近話題となっている.これは,摂取量に比して透析で除去できる量が多くなっている状態である.特に経静脈栄養や経管栄養を行っている患者では,顕著に現れる.残念ながら今の透析方法では,血液中の値を察知して透析量や透析液を調整することはできないのが現状である.となると輸液や薬剤にて補充を考えなければならないが,わずかな誤差でも鋭敏に反応してしまう.下痢の場合には,予測不可能な状況といえるが,排便状態が安定すると驚くほど結果は改善される.まさに腸管からの吸収による改善と考えられるのである.透析患者においても腸管内での環境調整が重要であり,リン(電解質)コントロールのキーワードといえる.
【まとめ】私共管理栄養士に今求められていることは,腸管内での環境整備のための腸内菌叢の正常化を目指した食事療法ではないかと考えている.

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