演題情報

企業共催シンポジウム

[共催] バイエル薬品株式会社
開催回
第62回・2017年・横浜
 

CPP関連の最新の話題

演題番号 : KS-01-4

黒尾 誠:1

1:自治医科大学抗加齢医学研究部

 

CPP(Calciprotein particle)とは,リン酸カルシウムの微小結晶を吸着した血清蛋白Fetuin-A の凝集体で,コロイド粒子として血中に分散している.最近の臨床研究で,腎機能低下とともに血中CPP レベルが上昇すること,および血中CPP レベルは,腎機能とは独立に,血管石灰化や慢性炎症の臨床指標と正相関することが報告された.一方,CPP には細胞障害や自然免疫反応を誘導する活性があることも明らかとなり,CPP が慢性腎臓病の合併症,特に血管石灰化や非感染性慢性炎症の原因物質である可能性が指摘されるようになった.我々は,血中CPP の新しい高感度測定系を開発し,コロイド物性の異なるCPP を識別して測定することに成功した.すなわち,腎機能が正常の個体においても,リンを摂取すると一過性に血中CPP が上昇するが,このようなCPP は粒子径が小さくて比重が軽く(low-density CPP),肝類洞や骨髄類洞から血管外へ出て網内系細胞に貪食されたり,骨に沈着(骨ミネラル化)したりして,血中から除去されるものと考えられる.一方,透析患者の血中には,粒子径が大きく比重の重いCPP(high-density CPP)が存在し,これが血管石灰化や非感染性慢性炎症を引き起こす原因物質である可能性が考えられた.一般に哺乳類は,水に溶けない物質を「溶かす」ために,それを蛋白に吸着させ,コロイド粒子にして液相に分散させるという戦略をとる.水に溶けない生体内物質の代表が脂質とリン酸カルシウムである.脂質はアポ蛋白に吸着され,リポ蛋白(LDL,HDL 等)というコロイド粒子となって血中に分散する.同様に,水に溶けないリン酸カルシウムはFetuin-A に吸着され,CPP というコロイド粒子となって血中に分散する.脂質とリン酸カルシウムは,最終的には脂肪組織と骨にそれぞれ貯蔵される.しかし何らかの原因で,これらの不溶性物質が本来の貯蔵先でなく血管に貯まってしまうと,動脈硬化を引き起こす.すなわち,脂質が血管に貯まると粥状硬化を,リン酸カルシウムが血管に貯まると血管石灰化を引き起こす.CPP は将来,リポ蛋白に匹敵する研究対象に成長する可能性があると言えよう.

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