演題情報

企業共催シンポジウム

[共催] バイエル薬品株式会社
開催回
第62回・2017年・横浜
 

HIF stabilizerとCKD-MBD

演題番号 : KS-01-3

濱野 高行:1

1:大阪大学大学院医学系研究科腎疾患統合医療学

 

線維芽細胞増殖因子23(FGF23)の転写が機能性鉄欠乏によって促され,腎不全では鉄補充がFGF23 を低下させることも判明し,CKD-MBDと鉄代謝が繋がった.では内因性のEPO に対して介入することはFGF23 にいかなる影響を及ぼすのであろうか?今後内因性のEPO に対する介入薬として上市が近いのはHIF stabilizer である.HIF stabilizer の種類によって,Hb 上昇作用の早さや強さは違うが,どのHIF stabilizer の使用においてもhepcidin の持続的抑制が見られ,鉄の囲い込み症例でも効果があると考えられている.またESA とは違い,生理的レベルのEPO 濃度しか誘導しないため,血圧上昇作用がない点に期待がかかる.現在darbepoetin と比較する心血管イベントを主要アウトカムにした研究が欧米で企画されており,血圧の観点からだけならばESA よりもはるかに心血管イベントは少ないかもしれない.しかし,この薬剤には二つの懸念がある.
【1】HIF 安定化が骨細胞内でのFGF23 転写を促し,腎不全ではFGF23 の分解が抑制されているために,血清FGF23 上昇につながりうる.これは保存期ではリン利尿に働く可能性があるが,FGF23 の心肥大作用が本当であるならば,透析患者では心不全を惹起する可能性がある.
【2】糖尿病患者で血清HIF-1α が高いほど冠状動脈石灰化指数の高いことは臨床研究で報告されていた.また弁置換をされた肥厚大動脈弁の血管新生がおこっている局所や石灰化部位でHIF-1αやVEGF の発現が上昇していることも報告されている.最近,血管平滑筋細胞にリンを付加するとHIF-1αが誘導され骨芽細胞様細胞への形質転換が起こるが,HIF-1αを欠失させるとそれが起こらないこと,またHIF stabilizer 添加で血管石灰化が増悪することがin vitro の系で報告された.よって高リン血症の併存する状況下でHIF stabilizer を使い続けると血管石灰化や心臓弁硬化/ 狭窄が増悪する危険性がある.この二つの危惧から,HIF stabilizer を使う時代には,血清リン管理がこれまで以上に重要になる可能性がある.

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