演題情報

企業共催シンポジウム

[共催] バイエル薬品株式会社
開催回
第62回・2017年・横浜
 

冠動脈石灰化進行抑制の臨床的意義と治療戦略

演題番号 : KS-01-2

藤井 秀毅:1

1:神戸大学大学院医学研究科腎臓内科、腎・血液浄化センター

 

慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者のみならず非CKD患者においても,冠動脈石灰化は臨床的に重要な問題である.この理由は, 冠動脈石灰化の存在が心血管疾患(cardiovascular disease:CVD)発症および総死亡に密接に関係するからである.では,なぜ冠動脈石灰化の存在が心血管疾患発症につながるのであろうか?この問題に関してクリアカットに証明することは難しいが,いくつかのメカニズムが想定されている.石灰化には,大きく分けて,動脈硬化性石灰化とメンケベルグ型中膜石灰化の二つが存在することが知られている.前者は血管イベント,そして後者は血流障害に関係することが考えられる.プラークの石灰化の程度とその安定性が関係することが報告されている.つまり,微小な石灰化はプラークの不安定化をきたし,高度な石灰化は逆にプラークを安定化させると考えられている.最近の研究において,まさにこれを証明する結果が示されており,シンチによりこれが発見できるということが報告されている.これは非常に興味深い知見である.また,血流障害も大きな問題であり,最近の研究で冠血流予備能(coronary flow reserve:CFR)の低下がある場合,透析患者においても有意に予後が悪いことが示されている.では,これらの病態を引き起こす石灰化進展を防ぐためにはどうすれば良いのだろうか?カルシウム非含有リン吸着薬がカルシウム含有リン吸着薬に比して,石灰化の進行を遅らせ,生命予後の改善に繋がることがいくつかの研究から考えられている.我々もカルシウム非含有リン吸着薬である炭酸ランタンを用いて,透析導入直後の高リン血症治療が,冠動脈石灰化に影響を及ぼすかを調べた.その結果,軽度から中等度の石灰化を持つ患者においては有意にその進行を遅らせることが示された.また,そのメカニズムの一つとしてFGF23 の関与を考えさせられるデータを得た.本シンポジウムでは,以上について,過去の報告も参考に考察してみたいと思う.

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