演題情報

企業共催シンポジウム

[共催] バイエル薬品株式会社
開催回
第62回・2017年・横浜
 

生命予後改善を目指した高リン血症治療

演題番号 : KS-01-1

駒場 大峰:1

1:東海大学医学部腎内分泌代謝内科

 

高リン血症は二次性副甲状腺機能亢進症の原因となるだけでなく,血管石灰化を介して心血管合併症,死亡のリスク上昇に関与する.このため,わが国をはじめ多くの国々で炭酸カルシウムやセベラマー塩酸塩などのリン吸着薬が使用されてきたが,カルシウム負荷への懸念や消化器系の有害事象のため,これらの薬剤のみで十分なリン管理を得ることは困難であった.このような状況の中,2009 年にわが国で市販されたカルシウム非含有リン吸着薬が炭酸ランタンである.炭酸ランタンはカルシウム負荷をきたすことなく,高いリン吸着効果を有し,透析患者のリン管理成績の向上に大きく貢献した.このような炭酸ランタンの効果が生命予後に及ぼす影響を検証するため,われわれは2,292 名の透析患者を対象とする3 年間のコホート研究のデータベースを解析し,その結果を2015 年に発表した.本研究では,傾向スコアを用いて炭酸ランタン使用患者と非使用患者をマッチングした結果,炭酸ランタンにより29%の死亡リスク低下が観察されたものの,統計学的に有意ではなかった.しかし,治療開始前の血清リン値で層別化すると,この値が6.0 mg/dl を超える症例では,統計学的に有意な48%の死亡リスク低下が観察された.以上の結果より,炭酸ランタン処方により生命予後が改善する可能性が示されたものの,その恩恵は従来治療で十分なリン管理の得られていない症例に限定されるとも解釈されるものであった.そこで今回,われわれはこのコホート研究の観察期間を7 年に延長し,炭酸ランタンが生命予後に及ぼす影響を再検証することとした.本講演では,この長期コホート研究の成果を発表し,炭酸ランタンによる高リン血症治療の新たなエビデンスを示したい.

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