演題情報

学会・委員会企画

開催回
第62回・2017年・横浜
 

吸着を利用した新しいデバイスの提案

演題番号 : GI-10-6

山下 明泰:1

1:法政大学生命科学部環境応用化学科

 

【緒言】血液浄化システムを携帯化する上で,デバイスや監視装置自体の小型化は重要な要素であり,欧米ではこのコンセプトのもとに開発された装置が既に市場に出ている.一方,透析膜と尿細管細胞とを組み合わせたハイブリッド型の人工腎臓システムについても,既に多くの研究報告がある.しかし我々は,携帯化の障害になるのはデバイス自体のサイズではなく,透析液を使用することおよび電源を必要とすることの2 点にあると考え,これらに依らない方法を検討してきた.本報告では,その開発の過程を紹介する.
【方法】溶質の除去について,その速度を制御しながら実現するために,吸着をフルに利用した3 つの方法を経験した.
A. ゲル内に吸着材や酵素を分散し,ここに流路を確保する装置を開発した.
B. 限外濾過器の流入圧で分離された濾液を,吸着材と接触させ,これを逆濾過で補充液として返すデバイスを考案した.
C. 吸着材を封入した球状の高分子素材を多数封入したデバイスを開発した.
【結果および考察】開発したデバイスごとの特徴を示す.
A. 水系では最長2 週間に渡って,緩徐な溶質除去に成功した.しかし血液系では,ゲルの血液適合性が悪く,12 時間以内の凝固を経験した.
B. 濾過器では流れのもつ自然圧で濾液が得られるので,ポンプレスのシステムを実現できた.しかし,溶質の除去効率を実用レベルで制御するには,吸着材の形状(活性炭の場合には,微粉化する)を工夫する必要が認められた.
C. 多数の球体の隙間が流路となるため,デバイスの組み立ては容易である.また,溶質除去効率は実用レベルを確保した.しかし,球体自身の作製にやや手間を要する.
【結論】問題点を解消するための技術を開発しながら,新たなデバイスを構築してきた.現在は腹膜透析の技術を組み合わせた別のデバイス構築に向けて,新たな挑戦を展開している.こうした取り組みを継続することが,変革期に求められる新技術の創製に貢献する近道となるはずである.

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