演題情報

学会・委員会企画

開催回
第62回・2017年・横浜
 

携帯が可能な小型血液浄化システムへの挑戦

演題番号 : GI-10-5

松田 兼一:1、小久保 謙一:2、山根 隆志:3、山本 健一郎:4

1:山梨大学医学部救急集中治療医学講座、2:北里大学医療衛生学部医療工学科、3:神戸大学大学院工学研究科機械工学専攻、4:川崎医療福祉大学医療技術学部臨床工学科

 

今回,携帯が可能な小型血液浄化システムに挑戦したので報告する.我々はまず血液浄化器のfiber 径に注目した.現在市販されている血液浄化器のfiber 径はほとんどが200μm 程度である.我々は小型化のみならず膜性能の向上と劣化速度の低下を企図して,血液浄化器のファイバー径を100μm へ細径化した血液浄化器を北里大学医療衛生学部医療工学科と共同研究した.その結果,膜面積0.3m2 で,ハウジングサイズ75×99×21mm の超小型hemofilter の開発に成功した.
さらに,細径化する事で膜表面への蛋白付着による透過性能低下(fouling)を防ぐ事も判明した.つまり,fiber の細径化により長期連続使用可能なhemofilter の作成が可能となった.次に血液ポンプに注目した.血液浄化に使用される血液ポンプはほとんどがローラーポンプである.そこで小型化するために血液浄化用遠心ポンプの開発を試みた.遠心ポンプはその駆動性質上,低流量下での安定運転は困難とされてきた.しかし,我々は血液浄化用小型遠心ポンプを神戸大学工学部と共同研究し,50mL/min 程度の低流量でも安定して駆動する,羽直径約34mm の超小型血液浄化用遠心ポンプの開発に成功した.
さらに定常流である遠心ポンプを使用することで,遠心ポンプの方がローラーポンプよりもfouling が少ない事も判明した.最後に,これらを一体化したシステムを川崎医療福祉大学医療技術学部と共同研究した.遠心ポンプを使用する事で圧モニターは不要となった.また本血液浄化システムにおいて,濾液ポンプや補充液ポンプを市販の輸液ポンプで代用する事で,本システムの小型化・簡略化を図った.その結果300×160×95 mm 程度の携帯が可能な小型血液浄化システムの開発に成功した.そこで本小型血液浄化システムをヤギに背負わせ,長期間血液浄化実験を試みた.その結果,血液回路やhemofilter を交換することなく,6 日間以上の連続血液浄化療法が可能となった.携帯が可能な本システムにより,救急外来や災害現場,更には血液浄化の普及が不十分な地域で,安全かつ簡便な血液浄化が可能となると考える.

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