演題情報

学会・委員会企画

開催回
第62回・2017年・横浜
 

PD+HD併用療法の心筋細胞拍動能への影響

演題番号 : GI-10-4

濱田 浩幸:1

1:九州大学大学院農学研究院生命機能科学部門

 

【目的】連続腹膜透析療法(PD)に週1 回程度の血液透析(HD)を適用するPD+HD 併用療法(CD)は,患者の透析不足を改善し,腹膜に休息日をもたらす優れた治療様式である.その一方,CD において,間歇的治療であるHD の適用は,PD の最大の特徴『体液性状の恒常性維持』に影響し,心機能への負荷が懸念される.本研究では,CD中の血清および間質液の電解質濃度の変動が心筋細胞内Ca2+ 循環動態におよぼす影響の電気生理学的数理解析を実践し,CD の心筋細胞拍動能への影響を検証した.
【方法】腹膜を介する物質移動の数理モデルと電気生理学に基づく心筋細胞の興奮収縮連関の数理モデルを統合し,透析液・血清・間質液・細胞内液から構成されるPD 中の心筋細胞拍動能を表現する数理モデルを構築した.この数理モデルを用いて,ブドウ糖濃度2.27%,Ca2+濃度2.5mEq/L の腹膜透析液2L を1日4 回交換することにより体液量を維持している平均的なPD 患者の血清および心筋細胞内のCa2+濃度,心筋細胞の拍動リズムおよび収縮力の推移を解析した.次に,血液透析膜を介する物質移動の数理モデルと上記の数理モデルを統合し,CD 中の心筋細胞拍動能を表現する数理モデルを構築した.この数理モデルを用いて,透析液Ca2+ 濃度2.75mEq/L,治療時間4 時間の週1回HD を上記のPD 処方と併用する患者(CD 患者)の血清および心筋細胞内のCa2+ 濃度,心筋細胞の拍動リズムおよび収縮力の推移を解析した.そして,CD 患者の体液中Ca2+ 濃度の変動および心筋細胞拍動能をPD 患者のそれらと比較した.
【結果および考察】PD 患者の血清Ca2+ 濃度に顕著な変動は観られなかった.一方,CD 患者の血清Ca2+ 濃度はHD 後に上昇し,そのHD以後1週間のTAC(Ca2+)はPD 患者のそれに比して約3% 高値を示した.さらに,CD 患者の心筋細胞のCa2+ 濃度はPD 患者のそれよりも高く,CD 患者の拍動リズムおよび収縮力は1 週間を通してPD 患者のそれらよりも高い状態に維持された.したがって,CD における1 回のHD のCa2+ 負荷量は1 日のPD のそれよりも多く,それにより,心筋細胞内のCa2+ 循環動態が良好となり,拍動能の上昇がもたらされることが示された.

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