演題情報

学会・委員会企画

開催回
第62回・2017年・横浜
 

抗菌性を制御する新たなカテーテル表面修飾ナノマテリアルの開発

演題番号 : GI-10-3

古薗 勉:1

1:近畿大学生物理工学部医用工学科

 

2015 年末の日本透析医学会統計調査によると,我が国における在宅血液透析(HHD)患者数は572 人(全慢性透析患者数の0.2%)であり,保険収載後,増加してきたHHD 患者数の伸び率にやや鈍化傾向が認められるようになっている.透析療法としてHHD 選択を阻む要因の一つに自己穿刺がある.日本透析医会によるHHD 管理マニュアルでは,「穿刺は自己穿刺を条件とし,代行するとしても医師等の有資格者とする」と明記されていることから,一般の透析患者にとってHHD の適応条件が極めて高く設定されている.
一方,先進諸国の医療において,” Shared decision-making(意思決定の共有)” という概念が広く受け入れられている.治療方針の決定の際に,適切な患者教育の後に患者に治療方法を選択させるというものである.この概念は透析療法における治療法の決定についても対象であり,HHD を選択するにあたり患者の意思が優先されている.
2012 年における在宅血液透析研究会の調査では,バスキュラーアクセスはほとんど自己血管内シャントが用いられているが(98.9%),最近になって血管内留置カテーテルをHHD に用いた報告も散見されるようになっている.血管内留置カテーテルが忌避される要因の一つとして,カテーテル関連血流感染(CRBSI)が挙げられる.米国におけるCRBSI は年間25 万例に発生していることが報告されており,抗菌カテーテルの適応もCRBSI 発生低減において有用とされている.しかしながら,我が国では1990 年代にクロルヘキシジン・スルファジアジン銀コーティングカテーテル使用例においてアナフィラキシーショックが発生したことにより,現在でも抗菌カテーテルの使用が忌避されているのが現状である.
そこで我々は,血管内留置カテーテル基材の機械的特性を変化させることなく表面修飾が可能であり,かつ抗菌性制御が可能なナノマテリアルの開発を行っている.本セッションでは,これまでに開発した数種類のナノマテリアルの材料特性を解説し,また在宅治療におけるバスキュラーアクセスの課題解決法をデバイス開発の視点から論じる.

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