演題情報

学会・委員会企画

開催回
第62回・2017年・横浜
 

透析患者の尿酸代謝の性・年齢の影響

演題番号 : GI-01-3

菅野 直希:1

1:東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科

 

高尿酸血症(HUA)は慢性腎臓病の危険因子であることは知られているが,透析患者において,HUA が全死亡や心血管イベントによる死亡の危険因子になるのか否かは,一定の見解がない.我々は昨年の本学会において,2012 年末の日本透析医学会統計調査から抽出した血液透析(HD)患者222,434 例において,血清尿酸値(UA)が低値であるほど死亡率(全死亡,心血管系疾患による死亡)が上昇することを報告した.またHUA 治療群でも同じ傾向を示したが,UA が高値であると死亡率が再び上昇した.UA は栄養状態を示すマーカーでもあり,低栄養が死亡率の増加につながることを示唆すると考えられる一方,HUA の治療にてもUA のコントロールが困難な患者は,生命予後が悪いことを示唆すると考えられた.
今回の本学会で,同統計調査から抽出した腹膜透析(PD)患者6136例において検討した結果を報告した.HD 患者とは傾向が異なり,UA と生命予後との関連は得られなかった.PD 患者はHD 患者に比し,残存腎機能がある患者が多いことが関連していると考えられる.
UA は男女差があり,女性は男性に比し低値である.そこで,今回透析患者において性差および年齢の影響があるかにつき,サブ解析にて検討した.
HD 患者では,年齢および透析歴は女性で高値であり,UA は女性で低値であった.男性ではUA が高値であるほど全死亡および心血管疾患による死亡率が低下した.SUA が7.0mg/dl 超える群での全死亡および心血管疾患による死亡のハザード比は,男性に比し女性で低値であった.HUA 治療の有無による層別解析行ったところ,全死亡および心血管系疾患による死亡のリスクは年齢・性別に関連は認めなかった.PD 患者では,年齢は男女で有意差はなく,透析歴は女性で高値であり,UA は女性で低値であった.UA と死亡率の関連があるとはいえず,男女の違いでも関連を認めなかった.
透析患者におけるUA は,HD 患者とPD 患者で傾向に相違がある.UA は栄養状態を示すため,透析患者においては,低値であるほど死亡率の上昇につながり,過度に高値であると死亡率の上昇につながる.男性よりも平均値が低値である女性においては,その傾向が顕著に表れる可能性が示唆された.

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