演題情報

学会・委員会企画

開催回
第62回・2017年・横浜
 

腎性貧血における性・年齢

演題番号 : GI-01-2

丸山 之雄:1

1:東京慈恵会医科大学附属病院腎臓・高血圧内科

 

腎性貧血(Anemia in CKD)は,心血管系疾患のリスク因子となり,生命予後にも影響する他,QOL 低下にもつながる.赤血球造血刺激因子製剤(erythropoiesis-stimulating agent: ESA)は非常に有効であるが,特にESA 投与後には鉄欠乏状態が惹起され,鉄剤投与が必要になることがある.腎性貧血の管理指標には主にヘモグロビン(Hb)値,血清フェリチン,そしてトランスフェリン飽和度(Transferrin saturation: TSAT)があり,わが国の腎性貧血治療ガイドラインでは,Hb 値については,血液透析(HD)患者で10 ~12 g/dL を,腹膜透析(PD)患者と保存期CKD(ND)患者で11 ~13 g/dL を管理目標値として,血清フェリチン100ng/ml,TSAT 20% 未満で鉄補充療法を検討することを推奨している.
しかし,これらの管理指標であるHb 値,血清フェリチン,TSAT の分布は年齢や性別で異なることが知られており,わが国の腎性貧血治療ガイドラインでも,性別と年齢で貧血の診断基準が異なると明記されている.
我々は,本学会で,2007 年末の日本透析医学会統計調査から抽出した191902 例において,HD 群では血清フェリチンの上昇とともに死亡率(全死亡,心血管系疾患による死亡,感染症による死亡)は上昇し,Hb 値とTSAT は,J カーブ型を呈していたと報告している.
本研究のHD 症例を対象としたサブ解析では,年齢と透析歴は女性で高値であり,貧血パラメータについてはHb 値・血清鉄・TSAT は女性で低値であり,血清フェリチンは女性で高値であった.またHb 値は年齢とともに低下し,血清フェリチンは上昇していた.Hb 値が10g/dL 未満である低Hb 群の全死亡のリスクは男女間で変わりなかったが,心血管系疾患による死亡のリスクは女性で増大する傾向があった.血清フェリチンが10 ng/mL 以上である高フェリチン群の全死亡のリスクは男性で高値の傾向があったが,心血管系疾患による死亡のリスクは男女間で変わりなかった.年齢別の解析では,低Hb 群や高フェリチン群の死亡リスクに一定の傾向を認めなかった.
現行の貧血ガイドラインで性差や年齢別の記載があるものはほとんどないが,今後,これらの詳細な解析を行い,より詳細な推奨の設定が必要になると思われる.

前へ戻る