演題情報

学会・委員会企画

開催回
第62回・2017年・横浜
 

血液透析患者の骨代謝における性・年齢の影響

演題番号 : GI-01-1

藤井 直彦:1、濱野 高行:2

1:兵庫県立西宮病院腎疾患総合医療センター、2:日本透析医学会統計調査委員会

 

【背景・目的】透析患者においても骨折リスクには有意な性差・年齢差が存在する.これまでに男女や糖尿病(DM)を独立した骨折リスクとして扱った研究は多いが,その交互作用について検討した報告は少ない.我々は,年齢における性差を加味した上でその他の骨折リスクにおける性別・DM の影響を,本学会データ(JRDR-08102)を用いて検討した.
【方法】後ろ向きコホートによる縦断研究(2 年).対象は2007 年末に1 年以上維持血液透析中で大腿骨頚部骨折既往の無い患者.1,2年後の調査で骨折既往ありと報告した症例を骨折群とした.途中で死亡・移植・不明となった症例は打ち切りし,観察期間を調整した後ベースラインデータを用いて生存時間解析を行った.性別・DM による交互作用は有意なもののみモデルに残した.
【結果】対象は143215 名(平均年齢64.3 歳,男性61%,透析歴6.1(IQR:3.1 - 11.4)年,DM 31%).2 年間で2839 件の新規骨折を認めた(10.9件/ 千人年).60 歳未満では骨折リスクに男女差は観られなかったが,60 歳以上では1.6 ~2.1 倍女性で骨折リスクが有意に高かった.一方,男性ではPEIT/PTX の既往があると骨折リスクが高くなる傾向が観られたが(HR 1.27 [95%CI: 0.99-1.64]),女性では逆に有意に低かった(HR 0.72 [0.57-0.92]).また,透析液Ca 濃度(dCa)の施設平均が低値であった群(≦ 2.75mEq/L)に比し,高値群(> 2.75mEq/L)では有意に骨折リスクが低かったが(HR 0.82 [0.73-0.92]),女性では有意ではなかった(HR 1.00 [0.91-1.11]).
【考察】性別およびDM を交互作用項として解析モデルに組み込むことにより,より現実に即した解析を行った.骨折リスクにおける性別の影響は,閉経年齢である60 歳を境に大きくなり,女性で有意に骨折リスクが高いことが改めて示された.PEIT/PTX の既往と骨折リスクの関係が男女で逆向きであったことは興味深いが,indication bias が大きいと思われ,解釈には注意を要する.一方でdCa の割り振りは個人レベルではないため,男女間でのindication bias の差は小さいと考えられ,ここに有意な男女差が観られたことは興味深い.
【結論】男女差が骨ミネラル代謝を介して骨折リスクに関連している可能性が示された.

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