演題情報

教育講演 ベーシック

開催回
第62回・2017年・横浜
 

ファブリー病のバイオマーカー~血漿グロボトリアオシルスフィンゴシン(lyso-Gb3)~

演題番号 : ELB-24-2

丸山 弘樹:1、田口 惇美:1、三亀 真理子:1、石井 達:2

1:新潟大学腎医学医療センター、2:グライコファーマ

 

Lyso-Gb3 は,α- ガラクトシダーゼ(Gal)A 活性を阻害する物質であり,α-GalA の基質である.ファブリー病の病型分類,血漿lyso-Gb3 値の診断と治療のバイオマーカーとしての意義と課題について述べる.
1 診断と治療に関わる病型分類
ファブリー病に特徴的な症状として低汗および無汗症,四肢先端の異常感覚および疼痛,被角血管腫,角膜混濁などの早期古典型症状がある.病型は,これらの症状の有無から古典型と遅発型に分類される.古典型は小児期から,遅発型は成人になって現れる.病型はα-GalA遺伝子(GLA)の変異と関係する.予後を規定するのは腎臓,心臓,脳血管の障害である.遅発型では腎臓または心臓に障害が現れる.病型分類を認識して診断する.遅発型は,気づかれ難い.障害が多臓器に亘るファブリー病では,多くの診療科の医師が診療に関わる.腎臓内科医と循環器内科医は,両方の病型を診る立場にある.酵素補充療法の適応は古典型と遅発型である.シャペロン治療の適応の多くは遅発型である.
2 診断のバイオマーカー
ヘミ接合体患者では健常者よりも血漿lyso-Gb3 値が高く,古典型は遅発型よりも高い.診断のカットオフ値および病型分類のカットオフ値の設定が期待される.ヘテロ接合体患者が発見にも寄与しているが,正常範囲を示す患者がいることから,診断のカットオフ値および病型分類のカットオフ値の設定は難しい.
3 治療のバイオマーカー
血漿lyso-Gb3 値は酵素補充療法のバイオマーカーとして期待される.治療による血漿lyso-Gb3 値の低下は,リソソーム内にあるlyso-Gb3の分解,リソソーム内に蓄積しているGb3 の除去,lyso-Gb3 産生源の制限に起因すると想定される.ヘミ接合体患者では,補充された酵素に対する抗体が出現すると血漿lyso-Gb3 値の再上昇が認められることがある.血漿lyso-Gb3 値は男性患者の白質病変および女性患者の左室肥大の独立した危険因子である.台湾では遅発型患者が多く存在し,高齢者が高値を示す.血漿lyso-Gb3 値が年齢および臓器障害の進行による推移を明らかにする必要がある.

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