演題情報

教育講演 ベーシック

開催回
第62回・2017年・横浜
 

透析患者における末梢動脈疾患(PAD)の診察と検査

演題番号 : ELB-18-1

日高 寿美:1、小林 修三:1

1:湘南鎌倉総合病院腎臓病総合医療センター

 

PAD の認知度が上がっている現在においても透析患者の下肢切断率は依然として増加傾向にある.そして,透析患者がPAD による重症下肢虚血(CLI)で下肢大切断を受けるとその予後は非常に不良である.そのためにPAD を早期に診断し,禁煙・栄養・運動・フットケア・薬物療法など積極的に介入し,PAD を進行させない取り組みが望まれる.
透析患者は糖尿病の有無にかかわらずPAD の危険因子となる.そして,透析患者のPAD の特徴として,間歇性跛行で診断されることは少なく,下肢冷感からいきなり足部潰瘍を形成しPAD が発見される場合が少なくない.病変としては下腿血管の高度石灰化病変を伴うことが多く,治療に難渋する.
視診や触診による評価は重要だが,足背動脈や後脛骨動脈を触知できたとしてもPAD の存在は否定できない.Ratschow の下肢挙上ストレス試験は有用である.
足関節―上腕収縮期血圧比(ABI)は広く行われるスクリーニング検査で,ガイドラインでは年1 回の検査を推奨されている(2011 透析会誌).注意点として,透析患者では血管石灰化が高度でより末梢の病変が多いため,ABI の正常範囲は,非透析患者の0.9 をカットオフとするのではなく,1.02 としている.
足趾―上腕血圧比(TBI)は足関節より末梢の血流を反映し,0.6 未満をPAD のカットオフとする.足趾血圧はRutherford 分類で使用されている.
皮膚灌流圧(SPP)はレーザーを用いて毛細血管レベルでの赤血球の流入を測定する評価法で,一般健常人の平均値は79mmHg であり,PAD スクリーニングのカットオフ値は50mmHg となっている.創傷治癒には最低40mmHg 以上は必要で, 外科的デブリドマンは30mmHg 以下では禁忌となっている.
形態学的な診断法として,血管エコーを用いた血流波形の描出,CTアンジオグラフィーやMRA がある.下肢動脈造影をする場合には足関節まで十分に描出することが治療法の検討のうえで重要である.
2016 年度診療報酬改定により,人工透析患者のPAD 重症化予防の目的で,リスクを評価し,療養上必要な指導管理を行った場合は加算をすることができるようになった.透析患者のPAD を早期に診断できるよう,効率よく診察や検査が行われることが望まれる.

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