演題情報

教育講演 ベーシック

開催回
第62回・2017年・横浜
 

透析患者における認知症の診断

演題番号 : ELB-08-1

山元 敏正:1

1:埼玉医科大学神経内科

 

認知症とは知的機能が低下し,日常生活に支障をきたすようになった状態をいう.日本透析医学会による2010 年の報告では,透析患者の認知症の新規発症率は65 〜74 歳で2.4%,75 歳以上では10.4%とされる.この傾向は高齢化によってさらに今後加速されるため,透析患者の認知症の早期発見とそのケアは重要な課題である.本講演では,認知症とその原因疾患の診断のポイントについて述べる.Ⅰ.1.認知症の症状:中核症状と周辺症状があり,前者は記憶障害をはじめとする認知機能障害,後者は幻覚,せん妄などの心理症状と暴力など脱抑制による行動異常からなる.2.認知症の診断:病歴と神経所見から症状を確認し,神経心理検査(改訂版長谷川式簡易知能評価スケール,Mini-Mental State Examination,時計描写テストなど)と画像検査(MRI やCT による形態画像検査やSPECT やPET による機能画像検査)を実施する.Ⅱ.1.血管性認知症;症状はまだら状で,比較的急性発症し階段状に進行する.脳血管障害のリスクを有し,片麻痺などの局所神経症状を伴う.MRI では灰白質や白質の広範な脳梗塞を呈し,SPECT ではそれらの部位に一致して血流低下を認める.慢性腎臓病は独立した脳血管障害の危険因子であり,高血圧,糖尿病などの血管性認知症のリスクを伴っていることから,透析患者では血管性認知症の頻度が高い.2.アルツハイマー病:記名力障害が主体で緩徐進行性,初期には人格は保たれる.MRI では海馬を含む側頭葉内側の萎縮やSPECT で頭頂葉楔前部や後部帯状回の血流低下を認める.3.レビー小体型認知症:全般的な脳機能障害を示し,認知機能の変動や幻覚,パーキンソン症状を伴う.MRI では広範な脳萎縮,MIBG 心筋シンチグラフィーで集積低下とドパミントランスポーターシンチグラフィで線条体集積低下を認める.

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