演題情報

教育講演 ベーシック

開催回
第62回・2017年・横浜
 

ナノテクノロジーを用いたマイクロダイアライザー~基礎~

演題番号 : ELB-06-1

三木 則尚:1

1:慶應義塾大学理工学部機械工学科

 

近年マイクロ・ナノメートルスケールでの現象解明と微細加工技術を用いたマイクロ・ナノデバイスの積極的な利用が,自動車,情報通信機器,医療の領域で積極的に進められている.2016 年には一般社団法人日本機械学会内でも,マイクロ・ナノ工学部門が21 番目の部門として正式部門として認められた.マイクロ・ナノデバイスの医療応用は,その小ささを利用した低侵襲治療や,インプラント,ウェアラブルでのバイタルモニタリング,さらにはマイクロフルイディクスを活用したMicroTAS(Micro Total Analysis System)による検査や創薬など,多くの期待が寄せられている.しかしながら,現時点では実用化に至った研究例は多いとは言えない.われわれが開発した透析デバイスは血液層と濾液層をナノ多孔質膜で介した積層型フィルターとなっている.流路は生体適合性金属を加工することにより生成し,血圧で十分な血流量が導入されるよう流路の設計がされている.膜の材料として1 ナノメートルサイズの孔を有するポリエーテルスルホン膜(PES 膜)を多孔質膜として用いているが,この膜は低分子電解質を濾過し,アルブミンなどの蛋白質や血球成分は保持する.適切な位置で体内の動静脈に接続し,得られた濾液は膀胱を介して尿として排出するインプラントでの臨床応用を考えている.尿素や尿酸,クレアチニンといった除去対象に加え,ナトリウムやカリウムなど,体内に必要なミネラルも除去されてしまうが,欠乏した場合には経口摂取する.すなわちこのインプラント透析システムは,患者に排尿の喜びを与えるとともに(人工透析患者は尿量が極めて小さい),水,電解質の摂取を厳しく制限された食物制限からも解放されるという副次的なQoL 改善効果も有する.このシステムの臨床応用するための現状について報告する.

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