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開催回
第60回・2015年・横浜
 

急性腎不全に対し血液透析を実施した後、不均衡症候群に陥った猫の一例

演題番号 : WS-09-7

宮 直人:1、安川 明男:2、福岡 淳:3

1:TRVA夜間救急動物医療センター、2:上石神井動物病院、3:西荻動物病院

 

【はじめに】小動物の血液透析において体重が5kg未満、BUN200mg/dl以上、重度のアシドーシスを呈す症例では不均衡症候群を生じ易いとされている。今回、我々は急性腎障害に陥った猫に対し血液透析を実施したが、処置後に不均衡症候群を招き、昏睡状態を呈した症例を経験したためその概要を報告する。
【症例】症例はロシアンブルー、雌、4歳9カ月齢、体重2.25kg、既往疾患なし。
【経過】夜間に虚脱を主訴に来院された。血液生化学検査にて重度の高窒素血症、高クレアチニン血症、高リン血症、ならびに貧血を呈していた。超音波検査上にて腎構造の不整を認めたため、慢性腎疾患の急性増悪あるいは中毒等による急性腎障害と判断し(自宅にユリ科植物を設置しておりユリ中毒も疑われた)、同日より対症的な点滴治療を施したが腎パネルの下降を認めず、治療開始より第3病日目に血液透析を実施した。治療計画としてURRは0.3、URR/hrは0.75、4時間かけて透析を行なうような処方(流速2.18ml/min)を立てた。全身麻酔下(プロポフォール2mg/kg/iv、イソフルラン吸入麻酔維持)にて6Frダブルルーメンカテーテルを頸静脈留置し、血液透析を10分間実施したが透析中のBUNが126mg/dlと極端な低下を示したため即座に透析中止した。対症療法を行なったが、24時間後も昏睡状態にあり予後不良と判断し第4病日に安楽死処置を実施した。
【考察】本症例は急性腎障害第5期/NO/RRTと判断した症例である。透析後の昏睡は、過剰透析による不均衡症候群によるものと考察している。術前BUNから算出される浸透圧は300÷2.8=107mOsm/Lであり、透析後BUNより算出される浸透圧は126÷2.8=45mOsm/L、差は62mOsm/Lで著しい浸透圧較差を生じていた。今回、事前透析計画と実際に行なった透析治療との間には大きな隔たりが存在した。機械的要因、人的要因に問題があったと考えている。

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