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開催回
第60回・2015年・横浜
 

犬レプトスピラ症の4例に対する血液透析

演題番号 : WS-09-5

亀山 和久:1、田畑 智尉:1

1:亀山動物総合医療センター

 

【はじめに】
レプトスピラ症は病原性レプトスピラの感染による人獣共通感染症であり、犬では家畜伝染病予防法の届出伝染病に指定されている。犬の臨床徴候は血清型により異なるが、急性腎障害を起こすと死亡率が非常に高く、その治療には血液透析による治療が期待されている。現在まで我々は小動物用透析装置を使用して、様々な原因による急性腎障害の犬20例、猫8例の計28症例(体重1.9~25.5kg)に対して血液透析を実施してきた。そのうちレプトスピラ症は10例で、この中の8例が救命出来ている。その中で、今回我々は比較的長期間乏尿・無尿を呈した犬レプトスピラ症の中で救命できた4症例の概要を報告する。
【症例および治療経過】
症例1: 甲斐犬、4才、オス、体重11.9 ㎏。血液透析を7回実施し、無尿から8日目に排尿を認め、多尿期に入り、輸液終了までは46日を要した。その後BUN、血漿クレアチニンは基準内に回復した。
症例2:ピットブル、2か月齢、オス、体重7.6 ㎏。血液透析を8回実施し、乏尿から5日目に多尿期に入り、輸液終了までは44日を要したが、BUN、血漿クレアチニンは高値のままであった。
症例3:ラブラドール、2才、オス、体重25.5 ㎏。血液透析を6回実施し、乏尿から3日目に多尿期に入り、輸液終了までは21日を要した。BUN、血漿クレアチニンは基準内に回復した。
症例4:雑種犬、5才、オス、体重14.4 ㎏。血液透析を8回実施し、乏尿から5日目に多尿期に入ったが、輸液終了までは87日を要したが、BUN、血漿クレアチニンは高値のままであった。
【考察】
犬レプトスピラ症で、乏尿・無尿を伴う急性腎障害が生じた例では、一般的な抗生物質と輸液療法の治療では死亡率が70%と報告されている。これに対して我々の施設では血液透析を行うことで10症例中8例が救命できており、症例数は少ないものの血液透析の有効性は高いと思われた。しかし現在、動物の血液透析について透析離脱の時期や多尿期における輸液療法等のガイドラインが存在せず、様々な問題を抱えているのが現状である。今後、問題点の改善を試みながら、ガイドラインを作成し治療成績の向上を目指したい。

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