演題情報

ワークショップ

開催回
第60回・2015年・横浜
 

伴侶動物の腎機能障害と血液透析

演題番号 : WS-09-1

宮本 賢治:1

1:メディカル茜動物クリニック

 

犬猫とヒトとの関係は畜生と呼ばれ、存在意義すら問題にならなかった状態から高度成長を背景にヒトの心を一時的に和ませ、買い替えもできるという意味のペット(愛玩動物)へ、さらに最近では少子高齢化などを背景に、家族同様な存在として伴侶動物と呼ばれるほど親密なものとなりました。しかし、こうした伴侶動物に対する獣医療は様々な面でヒトの医療とは異なります。その最たるものが患者の多様性で、犬には体重数kgというトイ犬種やミニチュア犬種から、大人以上の体重を示す特大犬が存在し、同じ実年齢でも体重に応じヒトの換算年齢が異なります。さらに、猫の患者は体重が3~4 kgと均一で、血液型が異なっても交差試験で反応がなければ腎移植が可能なように、医学的にまだ未知の部分が数多く残る動物です。また、一般の動物病院は全科診療を建前とし、患者である犬猫は乳幼児と同じく自らは受診意思がなく、飼主への適切な医学情報の提供が難しく、診療内容が飼主の経済力により大幅に制限されるという点でも異なります。しかし、ヒトと伴侶動物には慢性腎臓病の発生率が年齢と共に増加し、老人病の特徴を示という類似点も存在します。また、腎臓のネフロン密度、様々な刺激に対する単一ネフロンGFRの応答様式、腎移植ドナーにおける残存腎機能の変化、乏尿の定義などにも類似しています。したがって、我々はAKINの提唱するAKIの診断と病期分類を採用し、不都合が生じた時点で改善するという姿勢をとっています。伴侶動物では血行動態不全、感染性疾患、炎症性疾患、中毒、尿路閉塞などの新規リスクや慢性腎臓病や心腎症候群という既存のリスクからAKIが発生しますが、こうした疾患が内科療法に反応しない場合に血液透析を行います。血液透析では透析用ダブルルーメンカテーテルによりブラッドアクセスを確保し、体外循環血液量が全血量(犬=88 ml/kg,猫=66 ml/kg)の10%未満になるように血液回路とダイアライザーを選択し、ヘパリンにより凝固時間を140~180%に遅延させ、Cowgillの経験側に基づくURRの選択と尿素動態モデルにより透析量を処方しています。

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