演題情報

シンポジウム

開催回
第60回・2015年・横浜
 

長期透析患者の腎移植とその管理について

演題番号 : SY-10-5

仲谷 達也:1、内田 潤次:1

1:大阪市立大学大学院医学研究科泌尿器病態学

 

わが国における透析医療技術の進歩により透析患者の生命予後は改善しており、透析歴15年を越える長期透析患者は年々増加傾向である。このような状況下、長期透析患者に腎移植をする機会が今後、増加することが見込まれる。特に献腎移植システムにおけるレシピエント選択基準では待機期間が考慮されているため、透析期間の長い患者が選択されやすい。実際、平均5,304.8日間待機した後に献腎移植が施行されている。また、生体腎移植でも既存抗体陽性腎移植など従来腎移植が困難であった症例も脱感作療法などの発展により腎移植が可能となり、結果として長期透析患者に対してこのような生体腎移植を行うこともありうる。長期透析患者は様々な透析合併症を有している場合が多い。透析合併症として①心・血管系合併症②悪性腫瘍③廃用性萎縮膀胱④動脈硬化・血管石灰化④長期透析による免疫能低下、易感染性⑤透析アミロイドーシス⑥骨ミネラル代謝異常―二次性副甲状腺機能亢進症、などが挙げられる。長期透析患者に対する腎移植は透析合併症への対応が必要である。慢性透析状態は高血圧(体液依存性、レニン依存性)、腎性貧血、慢性炎症、酸化ストレス、低栄養、細胞外液量増加、電解質異常、カルシウム・リン代謝異常などにより血管内皮障害、血管石灰化が生じ、虚血性心疾患、弁膜症、うっ血性心不全などの心血管系疾患が合併し易い状態である。長期透析患者では生命予後に直結する心・血管系合併症について移植前に循環器内科と協力し、心機能、虚血性心疾患の有無など循環器的評価を行い、手術適応や周術期管理法などを慎重に決定する必要がある。また、長期透析患者は透析腎癌を含めた悪性腫瘍の発生率が増加することも念頭に置かねばならない。更に長期透析患者への腎移植手術は移植腎血管の吻合部にあたる内、外腸骨動脈に動脈硬化病変や石灰化を伴うことがあること、廃用性萎縮膀胱に手術操作を行うこと、などにより外科的合併症にも注意が必要である。
この様に長期透析患者に腎移植を行う場合、透析合併症に関連した様々な問題点がある。本シンポジウムでは術前、周術期、術後に関するこれら問題点への対応を考察する。

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