演題情報

シンポジウム

開催回
第60回・2015年・横浜
 

ABO血液型不適合腎移植の治療法と管理について

演題番号 : SY-10-4

宮内 勇貴:1

1:愛媛大学泌尿器科

 

現在、本邦においてABO血液型不適合腎移植(以下ABOiKTx)は一般的な治療となっており、2013年には27.4%に行われている。各施設で多少の免疫抑制regimenの差はあるものの、ある程度は確立しつつある移植となってきている。歴史的には、偶発的なものではない計画的なABOiKTxとしては、1985年Alexandreらの術前の血漿交換と脾臓摘出の併用で報告が最初であり、本邦においては1989年高橋らによる報告が最初である。その後の海外からの報告は、ABOiKTxがriskの高いものである、という姿勢で検討されているものが多く、Paired Kidney Programに言及するものさえある。一方、本邦からの報告では保険適応外であるがrituximabの使用に始まり、抗血液型抗体の処理、あるいはhigh titer症例の報告など、より活発な検討がなされているのが現状である。これは献腎が少ない本邦の移植背景が大いに関係していると思われる。
前述のとおり、抗CD-20 monoclonal抗体であるrituximabは未だ保険適応外の治療であるが、ABOiKTxに有用なものであるとして2002年澤田らが報告して以来、各施設の免疫抑制regimenに組み込まれている。投与量やタイミングなどは施設によって様々であるが、2001年以後のABOiKTxで69%に脾摘なしでrituximabのみが投与されている。治療成績では血液型適合移植とも遜色なく効果的な治療であると思われる。しかし、その強い免疫抑制効果から感染症の問題はあり、特にHBV既感染のrecipientに関しては十分な管理が必要となる。
抗体価に関しては、血漿交換やrituximabでの処理前のhigh titer症例での治療成績が悪い、という報告が海外から散見される。それらはreboundが問題になっているようである。一方、本邦の2013年の集計では処置前は10~20%が256倍以上である。血漿交換による抗体除去を何回位するかは結論が得られていない。移植直前の抗体価に関しても海外では16倍以下を推奨する報告もあるが、本邦では、決まったものはない。しかし、2013年集計では、約9割の症例で32倍以下であるようである。
現在、本邦では身近になっていると言っていいABOiKTxであるが、治療法と管理についてまだ混沌としていることがあるようである。文献的な報告をもとに整理していきたいと思う。

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