演題情報

シンポジウム

開催回
第60回・2015年・横浜
 

肝炎ウイルス陽性患者の腎移植における管理に関して

演題番号 : SY-10-3

徳重 克年:1

1:東京女子医科大学消化器内科

 

C型肝炎ウイルス(HCV)に対する経口薬治療など、近年肝炎ウイルスの治療の進歩は著しい。今回治療法の進歩を踏まえて、肝炎ウイルス陽性患者の腎臓移植適応および管理に関して述べる。
1)HCV陽性患者;(腎移植前)従来透析患者にはインターフェロン単独治療のみが適応であり、HCV 1型高ウイルス量の患者においては、充分な効果が得られなかった。2014年9月に認可になった経口2剤(ダクラタスビル・アスナプレビル併用療法)は、HCV-NS5Aが野生株であれば約90%の患者で、HCVを排除できる。現在透析患者における容量検討試験が行われている。容量が決定しだい経口薬により、腎臓移植前にHCV消失できる可能性が高く、治療導入すれば腎移植治療に支障がなくなるものと推定される。(腎移植後)HCV陽性の腎移植後患者は、まれに腎移植後にFCH(Fibrosing Cholestatic Hepatitis)を併発し、肝不全に陥るので注意が必要であった。HCVに対する治療はインターフェロン中心の治療であったが、移植腎にしばしば拒絶反応をおこすことより難渋した。しかし経口2剤にて免疫抑制剤の濃度調節は必要だが、現在拒絶反応なく十分な治療成果が得られつつある。
2)B型肝炎ウイルス(HBV)陽性患者;(移植前)HBV陽性の透析患者は、週1回の核酸アナログ製剤でHBVはコントロール可能である。従って腎移植適応に支障ない。(移植後)腎機能の改善に伴い核酸アナログ製剤の内服頻度の調整が必要である。問題は術前HBV既往感染患者(HBs抗原陰性、HBc抗体陽性)であり、免疫抑制使用のため術後HBVの再活性化をおこし重症肝炎が報告される。ガイドラインに従って、術前HBV既往感染腎移植患者では、移植後定期的なHBV検査が必要であり、HBV陽性化した場合ただちに治療導入が必要である。
【結語】HCVに関しては、今後腎臓移植前にHCV消失できる可能性が高くなり、移植前に治療導入することによって腎移植治療に支障がなくなるものと推定される。HBVに関しては核酸アナログ製剤にてコントロール可能だが、既往感染者における移植後の再活性化が問題となっており、充分な経過観察・注意が必要である。

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