演題情報

シンポジウム

開催回
第60回・2015年・横浜
 

下部尿路障害を有する腎不全患者に対する腎移植治療と管理について

演題番号 : SY-10-2

宍戸 清一郎:1

1:東邦大学医学部腎臓学講座

 

従来、下部尿路に重篤な障害を有する患者に対する腎移植治療は、腎機能への影響や尿路感染のコントロールに関してリスクが高く比較的禁忌と考えられていた。しかし最近では、下部尿路の診断や治療、管理方法の進歩により、原疾患となった下部尿路を十分評価し、必要に応じて適切な術前治療を施しておくことにより、移植腎へのリスクは十分低下させることができると考えられている。
下部尿路障害は、後部尿道弁(PUV)などに代表される器質的通過障害と機能的障害(神経因性膀胱)に大別される。
下部尿路に器質的通過障害を合併する症例では、まず移植前に再度その通過障害が解除されていることを確認する必要がある。高度の膀胱尿管逆流を合併する症例では、移植後感染の温床となる可能性があるため、移植前あるいは移植時に両側固有腎尿管摘出を行うべきである。さらに注意すべきはこのような器質的通過障害に関連する膀胱機能異常である。例えば、高度PUVでは閉塞が解除された後も膀胱内高圧状態に関連した膀胱の続発性機能異常が継続することが知られており、これに伴う蓄尿時(排尿時)膀胱内高圧は移植腎の予後に影響する。
神経因性膀胱を合併する患者に対する移植後管理の目標は、上部尿路(移植腎機能)の保持と尿禁制の獲得である。また当然、免疫抑制療法下での尿路感染のコントロールも重要となる。特に蓄尿時高圧型の神経因性膀胱では、難治性尿路感染の合併と相まって進行性に腎機能を障害する可能性がある。
具体的には、薬物治療とCICの導入により、日常生活に必要となる膀胱容量での高圧蓄尿が排除され、尿失禁のコントロールも可能であれば、固有膀胱をそのまま用いて管理することが可能である。しかし、このような保存的治療では不十分な症例では、移植前の計画的な外科的治療(膀胱拡大術など)が適応となる。
尿道に高度の器質的閉塞を認めたり、種々の理由により固有尿道からの自排尿や導尿が困難な場合には、虫垂や固有尿管を用いた尿禁制型腹壁導尿ストーマ(Mitrofanoff法)を作成することも行なわれる。
今回は、自験例を中心に、下部尿路障害を有する腎不全患者に対する腎移植治療と管理の実際について供覧する。

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