演題情報

シンポジウム

開催回
第60回・2015年・横浜
 

腎移植レシピエントの管理での循環器内科医の役割

演題番号 : SY-10-1

高木 厚:1

1:済生会川口総合病院,東京女子医科大学

 

1 腎移植への認識を改める:人工透析(HD)患者は虚血性心疾患が多いが,症状が非典型的で非侵襲的な治療が選ばれることが多い.
たとえ,カテーテル治療(PCI)が行われても,予後は不良である.
腎移植(RTx)後は心筋梗塞発症が減少することを循環器内科医は認識すべきである.
2 手術のリスク:2014年の改訂によりRTxは中等度の手術リスクである.
3 患者リスクと虚血の評価:HD患者は患者リスク2以上がほとんどである.特に糖尿病(DM)患者では,HD導入時に冠疾患の有病率が高く,心筋虚血の評価を行う.しかし,HD患者へのPCIは拡張不良によりステント血栓症のリスクが高く,術前のPCIは虚血心筋量が多く,発作閾値が低い場合に限られる.
4 心機能の評価:心エコーを行う.駆出率(EF)だけでなく拡張障害の有無をE/e’などで評価する.一般にEF<40%は致死性不整脈の危険が高まる.E/e’>15の高度拡張障害では周術期イベントが多く,血圧とボリュームの過度の変動を避ける.術前に低心機能であってもRTx後に改善する事も知られている.
5 βブロッカーなど:βブロッカー(BB)は一般的にHD患者の予後を改善する.周術期イベント予防のためには,β1選択性の薬剤を平均脈拍数<70を目標に1ヶ月以上かけて漸増する.透析心による低心機能例にもBBは有効であり,この場合には,心エコーとBNP値などを指標に漸増する.左脚ブロックを有する低心機能例では心室同期療法も考慮する.末梢血管病変が高度な場合には,後負荷の軽減と長期予後を考慮して,HD期間中にカテーテル治療を考慮する.
6 抗血小板剤の管理:通常型ステント留置例では抗血小板剤は中止する.クロピドグレルでは5日,プラスグレルでは7日休薬とする.
薬剤溶出性ステントではアスピリン単剤の継続が原則となる.抗血小板剤を中断する場合には入院で中止する.ヘパリン静注への置換には有効性のエビデンスもなく,基本的には行わない.
7 フォローアップ:術前スクリーニングにおいて,左室拡張障害や冠動脈疾患が見つかった場合には術後も循環器内科でフォローする.
またすべての患者に対して,冠リスクなどの生活指導を行う.

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