演題情報

シンポジウム

開催回
第60回・2015年・横浜
 

再狭窄病変への挑戦~遺伝子治療~

演題番号 : SY-09-8

深澤 瑞也:1

1:山梨大学医学部附属病院血液浄化療法部

 

【はじめに】VA不全治療に対してVAIVTは低侵襲かつ反復治療が可能であることから第一選択となったと言っても過言ではない。しかし拡張治療の行為自体は、狭窄の原因となる血管内皮障害の根本原因を治療している訳ではないので再狭窄は残念ながらある頻度では起きうる病態であり、更に短期間の狭窄に対しては保険請求の問題も含めて大きな障壁となっている。今まで様々な薬剤が再狭窄を予防することができると報告がなされているが、革新的なものはなかった。昨年も本会で報告したが、核酸医薬デコイオリゴ塗布血管拡張バルーンの期待される効果に関して報告する。しかし昨年末に臨床治験の症例登録が終了したばかりであり、今後観察期間を経て最終効果が公表されるものと思われるが、本会開催時には治験継続中であり、結果に関しては公表できるものはないので、予めご了承いただきたい。
【核酸医薬とは】核酸医薬品とは、核酸あるいは修飾型核酸が直鎖上に結合したオリゴ核酸を薬効本体とし、タンパク発現を介さずに直接生体に作用するもので、化学合成により製造される医薬品の総称とされている。アンジェスMG株式会社が開発したのは、遺伝子の転写因子であるNFκBに対して結合能を有する二本鎖DNAオリゴヌクレオチドを用いて転写制御を行うデコイオリゴヌクレオチド(NFκBデコイ)である。NFκBが関与する疾患はアトピー性皮膚炎、血管再狭窄、過敏性大腸炎、椎間板変性症、関節リウマチ、がんなどである。
【薬剤塗布型バルーン】今回血管再狭窄を起こしやすい透析シャント狭窄に対してNFκB塗布PTAバルーンの開発がメディキット社との共同開発が行われた。先行する薬剤溶出性ステントに使用されているのはパクリタキセルであるが、大きな違いは新生内膜形成予防、それによって再内皮化の遅延作用を持つ抗がん剤のパクリタキセルに対して、炎症を元から断ちしかも血管保護作用があること、約1週間という長い作用持続時間を有する非抗がん剤であることである。これによって病態初期から狭窄予防が、動脈での動物実験では既に確認が出来ている。
【最後に】本薬剤を塗布した新しい血管拡張用バルーンカテーテルは、今後の再狭窄予防の大きな期待と考える。

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