シンポジウム
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狭窄の治療適応 受ける側から 演題番号 : SY-09-4 中山 祐治:1、宗 紗千子:1、中村 順一:1 1:天満中村クリニック
【はじめに】一般的にシャントPTAは病変が進行するにつれて治療難易度が高くなるため、「手遅れ」にならないうちに治療を行いたい。しかし一方で頻回PTAに伴う血管侵襲や造影剤投与・被曝などのデメリットや、いわゆる「3ヶ月ルール」の存在などを考慮すれば、できるだけ治療を遅らせたいところである。この「早過ぎず遅過ぎず」の適切なタイミングを判断するための私の考え方を報告する。
【受診のタイミング】 (1)透析をする際に問題がある シャントは言うまでもなく「血液透析を行うため」に作製される。この「血液透析を行うため」との観点から判断すれば、多様なシャントトラブルの兆候も整理しやすいと考える。 ・穿刺 通常は問題なく穿刺できていたシャントが、ある時期から穿刺しにくくなった場合は狭窄が発生している可能性がある。 ・脱返血 脱血量が十分取れているか、返血圧が高くなっていないか。これらのどちらか一方でも不具合を生じる場合、(シャント以外の原因を除外した上で)シャント狭窄を疑う。脱血量の低下は穿刺部より上流側、返血圧の高値は穿刺部より下流側に病変がある。 ・止血 薬剤の影響や血小板低下などのために元々長時間を要する場合は仕方ないとして、普段よりも時間がかかるようになってきた場合は下流側のシャント狭窄を考える。 (2)透析に支障はないが(何らかの兆候から)閉塞が予知される 入念な視診、聴診や触診により強い狭窄部位が指摘される場合ばある。部位によっては透析に全く支障を来さないことがあり、このような病変を日常の管理で発見することは大変であるが、可能な限り手を尽くして閉塞する前に発見したい。 (3)シャントの合併症が起きた 静脈高血圧症が代表例であるが、他にシャント瘤、スティール症候群などがある。 【シャント評価】当院では全例にシャントエコーでの評価を行う。上述の臨床的問題点に合致する病変を考えながら検索を行う。またシャントの血流状態を評価するため、上腕動脈血流量や血管抵抗指数を計測する。 【治療の判断】(1)の場合は必ずPTA適応である。(2)や(3)は状況次第であるが、患者の希望や社会的背景なども考慮しながら総合的に判断している。 |
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