演題情報

シンポジウム

開催回
第60回・2015年・横浜
 

狭窄病変の病理学的特徴

演題番号 : SY-09-2

大野 玲奈:1、下山 博身:2

1:帝京大学医学部病理学講座、2:(医)博友会友愛クリニック

 

透析患者より摘除したバスキュラーアクセス閉塞部周辺の静脈を観察すると、構造の変化が認められる。構造の変化として、内膜肥厚と中膜の破壊が認められ、血管内皮の下に新たな肥厚内膜(neointima)が形成されている。
Neointimaの構成細胞のほとんどは、Vimentin、SMA、Desmin染色により、線維芽細胞、筋線維芽細胞、平滑筋細胞に分類される。このうち、グラフト内の新生内膜については、Desmin陽性細胞がほとんど見られず、線維芽細胞と筋線維芽細胞で占められている。
また、CD31は血管内皮細胞だけでなく、血管内皮を構成していない陽性細胞が散在している。リンパ球はT細胞マーカーであるCD3のみ陽性でB細胞マーカーであるCD20陽性細胞は見られなかった。マクロファージマーカーであるCD68陽性率はAVFとAVGで差を認めなかった。
近年、動脈硬化や腫瘍への治療について期待されているmicro-RNAとは細胞内に存在する長さ20から25塩基ほどのRNAをいい、他の遺伝子の発現を調節する機能を有すると考えられているノンコーディングRNA(タンパク質への翻訳はされない)の一種である。血管腫などで発現するmicroRNA-21、新生血管内皮で発現するmicroRNA-132、正常血管壁で発現するmicroRNA-145の発現を閉塞したシャント静脈で調べたところ、miR-21、miR-145、miR-132の順に発現が強く、miR-21の発現が広範であったのに対し、miR-145、miR-132の発現には局在がみられた。
シャント静脈では血管壁と平行にずり応力(shear stress)、垂直方向に垂直応力(normal stress)が働く。シャント静脈では静脈の走向(内径や分枝、吻合角度)のバリエーションにより、層流、乱流が起こる。層流と乱流とmicroRNAの発現との関連が動物レベルで報告されていることから、今後の治療が期待される。

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