演題情報

シンポジウム

開催回
第60回・2015年・横浜
 

九州大学における先行的腎移植の現状

演題番号 : SY-06-7

升谷 耕介:1、北田 秀久:2

1:九州大学大学院病態機能内科学、2:九州大学大学院臨床腫瘍外科学

 

先行的腎移植(PEKT)は腎移植の一形態として既に確立した治療法であり、わが国のCKD診療ガイドライン2013でも透析導入後の腎移植と比較して生命予後を改善させる可能性があるとして推奨されている。ただし、最近の報告では、1-2年の透析歴を経た患者とPEKT患者の比較でPEKTの生命予後に関する優位性が示されないという結果も出ており、PEKTの意義は透析患者の生命予後が良好なわが国においても検討すべき課題である。当院においても腎移植症例の約30%をPEKTが占めるようになったが、PEKT希望者は外科にまず紹介され、腎臓内科、小児科、循環器内科、糖尿病内科等の各診療科との連携のもと外科医が術前検査と周術期管理を行っている。PEKT希望者がCKDステージ5に到達した場合、尿毒症症状や体液過剰が重篤になる前にPEKTを行っているが、既に推算糸球体濾過量10ml/min/1.73m2未満の状態で紹介されたため術前評価を急いで行う、あるいはカテーテルで透析開始と同時に紹介・転院し、内科入院のまま術前検査を行うなどの例が依然として存在する。このような状態でのPEKTは若年者ならともかく、糖尿病性腎症患者、心血管合併症を有する患者、高齢の患者などでは危険であり、時に透析導入後の腎移植を勧めることもある。進行性のCKD患者にPEKTの情報を提示し、希望者を遅延なく移植施設に紹介し、待機期間の安全を担保することは腎臓内科医にとって基本的なスキルと考えられ、移植医のみならず移植施設の腎臓内科医はPEKTの啓発が十分でない地域・施設に情報発信する責務を負っている。本シンポジウムでは当院におけるPEKTの現状と周術期に経験する諸問題、安全なPEKT普及のための方策について述べる。

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