演題情報

シンポジウム

開催回
第60回・2015年・横浜
 

先行的腎移植の傾向

演題番号 : SY-06-3

中川 由紀:1、齋藤 和英:1、高橋 公太、冨田 善彦:1

1:新潟大学腎泌尿器病態学分野、大塚台クリニック

 

長期透析患者に比べ、先行的腎移植(preemptive kidney transplantation:PEKT)は、心疾患、血管の石灰化なども少なく、腎移植後の合併症も少なく、腎移植の成績も良好である。さらに不必要なシャント造設やCAPDカテーテル留置術などの手術のストレスも減少でき、医療費も減額できる。本邦でも2009年腎移植臨床登録集計ではPEKTが16%にまで及んでいる。
われわれの施設でも1996年に腎移植を開始してから、1997年にはPEKTを施行しており、その数は年々増加傾向にある。2011年以降には生体腎移植の48−50%がPEKTであり、全体で68症例(68/324、20.9%)のPEKTを施行している。
その成績は、10年生着率は96%と、non-PEKT生体腎移植群の10年生着率83.1%に比べ良好である。
しかし、その一方で、紹介時には透析未導入の症例の中には、腎移植が間に合わず、透析導入後に腎移植となっている症例も少なくない。2010年までわれわれの施設での透析導入後に腎移植となっている症例(n=22)について検討したところ、血清クレアチニンは8.44mg/dl、eGFRは7.55ml/min/1.73m2で、血清カリウムも平均で5.93mE/Lと高く、BEも平均-5.96とアシドーシスも進んでいる状態であった。また、PEKTでできなかった症例の8割に体重増加や浮腫を認めた。透析導入前に腎移植をできなかった主な理由は、57%がすでに末期腎不全であり、そのほとんどがCKDstage5であった。以上から腎移植専門医への紹介するタイミングは、術前検査の期間を考慮して原因疾患にもよるが、成人ではstage4,eGFR15~20ml/min,小児では20~29ml/minを目安に紹介すれば、PEKTに向けた十分な準備も可能であると考えられ、腎臓内科医と検討したところ、2011年以降は透析未導入の症例のすべてがPEKTで可能となり、年間腎移植の半数を占めるようになった。
腎不全保存期における腎臓内科医、移植外科医、その他医療スタッフ、患者とその家族の良好な連携が必要と思われた。

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