演題情報

シンポジウム

開催回
第60回・2015年・横浜
 

秋田大学におけるPEKTの現状と課題

演題番号 : SY-06-2

齋藤 満:1、佐藤 滋:2、井上 高光、羽渕 友則:1

1:秋田大学医学部附属病院血液浄化療法部,秋田大学大学院医学系研究科腎泌尿器科学講座、2:秋田大学医学部附属病院腎疾患先端医療センター

 

透析療法を経てからの腎移植よりも先行的腎移植(Preemptive Kidney Transplantation, PEKT)の方が移植後の成績が優れているのはもはや周知の事実となりつつある。欧米では移植前の透析期間が長くなるほど移植後の成績が悪化することが報告されている。
先行的腎移植のメリットは、①動脈硬化が少ない:移植後心血管疾患のリスク軽減、血管縫合が容易、良好な移植腎血流が期待できる、など、②廃用性膀胱萎縮がない:手術手技が容易で尿管膀胱吻合でのトラブル(尿管膀胱吻合部の狭窄・縫合不全、膀胱尿管逆流症など)が少ない、膀胱訓練が不要で早期に尿道カテーテル抜去が可能、など、③内シャント造設術あるいはPDカテーテル留置術などを行う必要がない:cosmeticに有利で手術コストもかからない、内シャントを造設しないことは心負荷軽減にも繋がる、などが挙げられる。
先行的献腎移植がほとんどない本邦では、ほぼPEKT=生体腎移植という現状がある。生体腎移植は予定手術であり、十分に準備を整えて最適な状態で腎移植療法を受けることが出来る。しかし実際のPEKTでは移植施設への紹介が遅いことが多く、十分な準備期間が無い中で移植を急ぐあまり、特にワクチネーションなどが不十分な状況下で移植せざるを得ない、という矛盾を招く可能性もある。また維持透析で状態が安定している患者とは異なり、終末期腎不全による尿毒症や貧血、BMDコントロール不足が全身状態不良を招いていることも少なくなく、Conditioning HDでも全身状態を充分に改善しきれていない中で移植を行わなければならないこともある。またPEKTを優先させるがゆえに維持透析施行中の移植希望患者の待機時間を延長させてしまうという社会的な問題もある。
PEKTの実施にあたっては様々な問題がある。PEKTの施行自体を目的とするのではなく、合併症の治療を含めた十分な術前の体調管理やレシピエントの移植後のあらゆる利益を最優先に考えるべきである。当科でのPEKTの現状と課題について、透析医でもある移植医の視点から報告する。

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