演題情報

シンポジウム

開催回
第60回・2015年・横浜
 

高齢血液透析患者のリン・カルシウム・PTHの管理

演題番号 : SY-04-4

大城戸 一郎:1

1:東京慈恵会医科大学附属病院腎臓高血圧内科

 

近年、透析導入年齢が徐々に高くなり、それに伴い骨粗鬆症の合併と考えられる症例を目にする機会が多くなってきている。また、透析技術の進歩により長期透析患者は年々増加傾向にある。CKDにおける骨ミネラル代謝の異常は,従来から使われている腎性骨異栄養症(ROD)に主眼を置いて評価され管理されていた。その後CKDにおけるミネラル代謝の異常は,骨病変を生ずるだけでなく,長期的には血管を含む全身石灰化を介して,生命予後にも影響を及ぼすことが明らかになってきた.そのため,RODと言う用語は骨そのものの病変に限定して使用することとし,新たに全身性疾患としてCKDにともなう骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)」という概念が提唱されてきた。JSDTにより2012年ガイドラインが制定されたため、さらにCa, Pi, iPTHの管理目標は明確となり、今後大きく生命予後に寄与していくものと考えられる。しかしながら、これらCa、Pi、PTHの管理を厳格に遵守しても血液透析患者における骨粗鬆症合併頻度は高く、骨折に伴うADLの低下とそれに伴う筋力の低下は誤嚥性肺炎などの誘発により生命予後へ影響を及ぼすことが想定される。一方、高齢者では、食事摂取量の減少による栄養状態の悪化により、むしろ低リン血症を呈することも少なくはなく、低リン血症の存在自体も生命予後の悪化要因の一つである。このように、高齢血液透析患者では、若年者には見られない固有の病態を認めることからガイドラインの遵守に加えた治療を求められている。また、CKD-MBDガイドラインを遵守していてもさらに低下してくる骨塩に対してどのように介入していくかは、現在答えが出ていない。骨粗鬆症は本邦でもガイドラインが制定されているものの、CKD患者への骨粗鬆症の治療については、エビデンスに乏しく、ガイドラインでの取扱いも軽微なものとなっている。一方、骨粗鬆症治療薬は、多くの新しい骨作動薬が発売され徐々に腎機能正常例での解析は進んできている。CKD患者へのその投与方法や副作用については、まだ発展途上の段階であり今後の研究報告が待たれるところである。

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