演題情報

シンポジウム

開催回
第60回・2015年・横浜
 

高齢透析患者におけるHb値・フェリチン・TSATの管理について

演題番号 : SY-04-3

倉賀野 隆裕:1、中西 健:1

1:兵庫医科大学内科学腎・透析科

 

【Hb値の管理目標】近年発表された大規模臨床研究により慢性腎臓病(CKD)症例におけるHb値と合併症や生命予後との関連が報告され、目標とすべきHb値も明らかになりつつある。これら大規模臨床研究のサブ解析から併発疾患(心血管系合併症や糖尿病の有無)・年齢・性別により目標Hb値が異なる可能性も示唆されている。近年発表された3341名の日本の維持透析患者を対象としたJapan Dialysis Outcomes and Practice Patterns Study (JDOPPS)は、死亡へのリスクとなるHb値は75歳未満(10g/dL未満)と75歳以上(9g/dL未満)の症例では異なり、貧血状態への認容性は年齢で異なる事を指摘している。しかしながら若年者とは異なり、高齢者は患者毎にADLが大きく異なり、単純に年齢でHb値の管理目標値を設定できるのかは更なる検討が求められる。
【フェリチン・TSAT値の管理目標】我が国において目標とすべきフェリチン値やTSAT値に関した報告は少ない。我々は、日本の1095名を対象とした観察研究において、常に高フェリチン値(≥100ng/mL)もしくは、フェリチン値が高振幅を呈する患者群は、フェリチン値が常に低値で推移する患者群より、脳・心血管系合併症・感染症・入院へのリスクが高い事を報告した。またTSAT値が常に低値(<20%)を呈する患者群は、脳・心血管系合併症・入院・死亡へのリスクが高いもののTSATが低値かつフェリチン値が高値の症例つまり鉄利用障害を伴う症例が最も脳・心血管系合併症や死亡へのリスクが高い事を明らかにしている。高齢者には低栄養や慢性炎症を伴い、低ESA反応性や鉄利用障害を伴う症例が多く含まれる事が予測される。よってフェリチン・TSATの管理目標値を考える際には、ADL以外にも患者個々の病態を考慮した管理が求められる。本シンポジウムでは、我が国で実施された維持透析患者を対象とした観察研究の結果から高齢透析患者の貧血・鉄管理の管理現状及び、管理目標値とイベントや予後との関連について報告したい。

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