演題情報

シンポジウム

開催回
第60回・2015年・横浜
 

高齢透析患者の血圧と血糖管理目標値~EBMとADLから考える~

演題番号 : SY-04-2

阿部 雅紀:1、岡田 一義:1、相馬 正義:2

1:日本大学医学部腎臓高血圧内分泌内科、2:日本大学医学部総合内科学

 

透析患者の高齢化が進み、今後、さらに高齢透析患者が増加することが予測されている。高齢透析患者の多くは心血管合併症や認知症などの合併症を有しており、高齢者特有の病態を考慮した治療や管理目標が必要とされる。しかし、高齢者の中には比較的健康で活動的な患者から寝たきりまでADLの程度が幅広い患者が存在することも事実である。糖尿病性腎症による末期腎臓病患者は増加し続け、新規透析導入の原疾患としてその割合は第1位で推移している。さらに高血圧を基礎疾患とした腎硬化症患者も第3位で推移しており増加傾向にある。慢性糸球体腎炎や腎硬化症で透析導入した患者でも、生命予後の改善や栄養状態の改善に伴い、新規に2型糖尿病を合併する患者も認められる。そのため、わが国の透析患者は高率に高血圧と高血糖を合併している症例が多いものと考えられる。 
降圧目標値を設定する目的は、長期的な心血管障害の発症を予防するためである。目標となる血圧値に関してはエビデンスが不足しているものの、安定した維持血液透析患者の場合、週初めの透析前血圧値として 140/90 mmHg 未満を目標とすべきとされている。そのため、すでに心血管障害が明らかな例における降圧目標値は別に設定する必要がある。また、透析時の急な血圧低下や透析終了後の起立性低血圧は予後不良の危険因子であるため、これらを避けながらの降圧管理が求められてくる。同様に、血糖コントロール目標値を設定する根拠は、血糖コントロールの改善により生命予後が改善するためである。血糖コントロールが不良な場合、感染症(敗血症)死が増加することも示されている。ただし、血糖変動幅が大きく、低血糖の危険性のある患者では低血糖による生命予後やQOLの悪化がみられる。そのため、低血糖の回避は最重要であり、高齢血液透析患者においては、その範囲内での緩めの血糖管理が設定目標となる。高齢者においては透析時低血圧と低血糖を回避しつつ、年齢、ADL、既存の合併症を考慮し、個々の症例に応じた目標値を設定することが望まれる。

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